中国の国務院(内閣)は、香港政策を担当する香港マカオ事務弁公室の主任に、習近平国家主席の元側近である夏宝龍氏(67)を任命した。夏氏は浙江省で共産党トップを務めていた時代、キリスト教会から十字架を撤去する弾圧運動を主導したとされている。
香港の英字紙「サウスチャイナ・モーニング・ポスト」によると、夏氏は浙江省の共産党委員会書記だった2015年、同省内の千以上の教会から十字架を撤去し、教会の建物を破壊するなどして、キリスト教を厳しく取り締まった。
浙江省の省都・杭州に拠点を置く政治アナリストの温克堅氏が同紙に語ったところによると、反対者やキリスト教会を徹底的に弾圧する強権的な姿勢により、省内では政府高官を含め嫌う人が多く、「夏氏が3年前に浙江省を去ったとき、多くの人々が喜んだ」という。
浙江省の牧師は、迫害監視団体「国際キリスト教コンサーン」(ICC、英語)に、「この異動は良い局面ではありません」とコメント。「夏氏は香港の教会を虐げる可能性があります」と語った。
夏氏は、習氏が浙江省で共産党委員会書記を務めていた時代、副書記として支えた元側近。習氏が同委書記を退いた後、同省人民政府省長を経て、自身も同委書記に就任。現在、中国人民政治協商会議(政協)全国委員会の副主席兼秘書長を務めている。香港マカオ事務弁公室の主任は、現在の役職と兼務する。同事務弁公室の張暁明・前主任は降格処分され、副主任となった。異動は13日付。