・・・いくら豊かな人でも、その人のいのちは財産にあるのではないからです。」・・・「ある金持ちの畑が豊作であった。・・・『たましいよ。・・・さあ、安心して、食べて、飲んで、楽しめ。』しかし神は彼に言われた。『愚か者。おまえのたましいは、今夜おまえから取り去られる。そうしたら、おまえが用意した物は、いったいだれのものになるのか。』自分のためにたくわえても、神の前に富まない者はこのとおりです。」(ルカの福音書12章13節〜21節)
金融危機が全世界に広まり、価値が激変、株価も世界規模で暴落しています。生産量が減ったわけでも、会社が何か失敗したわけでもないのに、資産が急激に目減りして、世界中で1400兆円くらいのお金がいきなり消えたことになりました。資金繰りに行き詰まり、倒産する企業が続出。毎月値上がりしていたガソリンも、最近は急に下がりはじめて、いったい何が起こっているのか。決して揺るぐことがないと思われていた世界的大企業や好景気に沸いていた国々でさえ、立ち行かなくなってきています。
こんな時代に、私たちは本当に頼りになる唯一なる神を心の中で意識しましょう。
今日開いた聖書の箇所には、とんでもない思い違いをした男が出てきます。彼は金持ちであり、当時最大の産業である農業で、大豊作になったのです。その時金持ちは嬉しくて笑いが止まりませんでした。一生遊んで暮らせるほどのお金を手に入れた、と彼は思いました。
しかし、「愚か者。おまえのたましいは、今夜おまえから取り去られる。そうしたら、おまえが用意した物は、いったいだれのものになるのか。」と神の声が響きました。
確かに人生には財産が必要です。しかし、地位や名声、物質的な豊かさが人生の土台ではありません。とんでもない思い違いをしないように、今日、神によって教えられましょう。
1.人生の土台を見誤らない
この金持ちは自分の畑が大豊作で、一生遊んで暮らすことができ、何でも手に入れられると思い、幸せの絶頂でした。しかし、神から「愚か者」と言われたのです。
他の箇所でイエスは、砂の上に家を建てた人と、岩の上に家を建てた人のたとえを話されましたが、私もブラジル伝道に行ったとき、脆弱な土台の上に建てられた超高層ビルが、何もしないのに傾き、ついに崩れ落ちるのを目撃しました。土台を間違うと、私たちの人生はどんなに華やかに見えても、一瞬で不幸や絶望にたたき落とされます。
この金持ちは、財産が満ちあふれることが人生の幸せの土台だと思って喜んだのです。でも、それは本当の土台ではありませんでした。私たちは人生の土台がどこにあるのか、私たちのいのちの豊かさはどこから始まるのか、その人生の基本を見誤ってはいけません。いのちの与え主である神から離れて、本当の幸せはありません。
2.一人だけの狭い世界で生きていかない
この金持ちは喜んでいましたが、彼のそばには、本当の人生を語ってくれる大切な人がいなかったのです。彼の周りにいたのはお金で動くしもべや奴隷でした。みんなお金をもらうから彼の言うことを聞きます。
人間は最初から一人で生きるようには造られていません。必ず誰かと共に歩んでいくのです。そして心に対して真理を語ってくれる誰かが大切なのです。
独りよがりの人生ほど怖いものはありません。同じルカの福音書14章のたとえで、もし王様がいて1戦交えようとするとき、自分の1万人の軍隊が、攻めてくる2万人の軍隊と戦うとしたら、勝つ見込みがあるかどうか、考えないで戦うようなバカなことはしないだろう、とイエスは語られます。
でも、私たちも自分の勢いや先走った思い、感情だけで物事を決めつけてしまい、愚かな結果を招くことがあります。仕事や家庭、将来の計画も、自分勝手に決めるのは恐いことです。
真理を語ってくれる本当に知恵ある方が必要です。「愚か者」と私たちの魂の本質を見抜いて語って下さるお方、すなわち神こそが私たちが本当に頼りとすべきお方であり、神の御心と神の知恵に従って歩むときに、私たちの人生は迷うことのない人生へと導かれるのです。
人は生かされている間、何度でもやり直しをさせていただけるのですが、人生の土台を誤解し、語りかけて下さる神の声まで無視する独りよがりの生き方は、私たちをとんでもない罪深い人生へと導いてしまいます。そして、人生の最後に取り返しのつかないことになるのです。
愚か者と語られる神は、それ以上に深い愛をもって、私たちの魂に語りかけてくださり、私たちが神の恵みにあって生きることを願っておられる方です。神に向き合い、神を土台とし、信頼しましょう。そして今、神の声を聞き、アドバイスをしっかり受け止めましょう。主よ私を強めてくださいと、素直に祈り求めれば、主の助けはあなたのものです。
万代栄嗣(まんだい・えいじ)
松山福音センターの牧師として、全国各地、そして海外へと飛び回る多忙な毎日。そのなかでも宗教を超えた各種講演を積極的に行っている。国内では松山を中心に、福岡、鹿児島、東京、神戸、広島、高松にて主任牧師として活動中。キリスト教界のなかでも、新進気鋭の牧師・伝道者として、注目の的。各種講演会では、牧師としての人間観、ノイローゼのカウンセリングの経験、留学体験などを土台に、真に満足できる生き方の秘訣について、大胆に語り続けている。講演内容も、自己啓発、生きがい論、目標設定、人間関係など多岐にわたる。
また、自らがリーダー、そしてボーカルを務める『がんばるばんど』の活動を通し、人生に対する前向きで積極的な姿勢を歌によって伝え続け、幅広い年齢層に支持されている。
国外では、インド、東南アジア、ブラジル等を中心に伝道活動や、神学校の教師として活躍している。