インド東部のオリッサ州で8月末から始まった殺人、強姦、焼き討ちなどを含む反キリスト教暴動によって破壊された教会再建のための補償金拠出を同州政府が拒否したことについて、インドの主要な支援運動グループの一つである世界インド人キリスト教徒協議会(GCIC)が非難した。
現地のラファエル・チーナス大司教は同州の最高裁判所に教会再建のために3000万ラーク(約7億1000万円)を州政府が拠出するよう求める嘆願書を提出していたが、今回州政府がそれを拒否した。州政府は、金銭による補償はいかなる宗教施設に対するものであっても政教分離に反するものだと今回の申し出を退けたが、GCICは州政府の対応が明らかに党派的な態度だと指摘している。
GCIC代表のサジャン・K・ジョージ氏は、「教会は賛美と礼拝をする場所であり、すべての宗教の人が行くことができ、祈ることができる場所。州政府は金銭による補償はいかなる宗教施設に対するものであっても政教分離に反するとしているが、州政府の予算項目には寺院の設立、祭事の実施、寺院の管理のための補助金などが含まれている」と指摘。州政府が4000万ラーク以上の資金を寺院の補修目的で拠出していることを厳しく非難した。
ジョージ氏はまた、「オリッサ州議会で今年、州の財務大臣が行った発表において、寺院の開発に5000万ラークが投入されたとしたことが公的文書に記録されている。州政府は教会が焼き討ちに遭い破壊されたのであり、自ら崩壊したのではないことを忘れている。州政府の施行する治安維持は破綻している」と語った。
オリッサ州を中心として発生したヒンドゥー教過激派によるキリスト教徒に対する暴動は、8月23日にカンダマル地区でヒンドゥー教指導者が殺害された事件を発端となって始まった。地元警察は犯行を毛沢東主義勢力によるものだとしているが、ヒンドゥー教過激派は、殺害がキリスト教徒の指示によるものだと主張し、教会やキリスト教徒の民家数百棟を焼討ちにした。避難者は5万人以上に膨れ上がり、森の中や政府の支援キャンプで依然として避難生活を強いられている。
このインドでの暴動に対しては、世界中のキリスト教界から非難の声が挙がっており、全インド・キリスト教協議会(AICC)は今回の暴動が、「インドの2000年の歴史の中で最悪の危機だ」とまで発表している。