東京基督教大学(TCU、千葉県印西市)は15日、現在の「神学科」「国際キリスト教福祉学科」の2学科制を、2021年春から「総合神学科」の1学科制に変更すると発表した。創立30周年を迎えて行う大学改革で、学生は1、2年次に共通科目でキリスト教世界観をしっかりと身に付けた上で、3年次から5つの専攻に別れ、専門的な学びを行うことになる。
TCUは現在、「神学部」の下に、「神学科」(教会教職専攻、神学専攻)と「国際キリスト教福祉学科」(国際キリスト教学専攻、キリスト教福祉学専攻)を設置する1学部2学科4専攻制。これが今回発表された学科再編により、神学部・総合神学科の下に、「教会教職」「グローバル・スタディーズ」「ユース・スタディーズ」「キリスト教福祉」「神学教養」の5つの専攻を設置する1学部1学科5専攻制となる。全員が総合神学科に入学し、2年間にわたる共通科目の学びを通して「キリスト教世界観をゆっくりしっかり身に付け」た上で、3年次から専攻を選択する。
教会教職専攻は、従来から設置されている専攻だが、主要科目に絞ることで、より丁寧に柔軟に深く学べるようにするという。
グローバル・スタディーズ専攻は、これまで設置されていた英語で授業を受けられる「アジア神学コース」(ACTSーES)を発展的に解消した上で、日本語話者と英語話者が共に学ぶ。
キリスト教福祉専攻は、これまであった卒業と同時に介護福祉士受験資格を取得する課程を廃止し、資格よりもキリスト教世界観に立った人格養成を重視。資格は、実務者研修ルートでの取得を目指す。
ユース・スタディーズ専攻は、これまで設置されていた「ユースミニストリー副専攻」が主専攻となったもの。同副専攻は「思春期という難しい年齢層に位置する中高生の心理、社会性、宗教性などを学び、聖書的なアプローチを用いての伝道、信仰の成長、社会性の発達、心のケアなど」について学ぶもので、人気の高い副専攻だったという。
神学教養専攻は、「天職が何か、オーダーメイドで学び深める」専攻だとしている。
また、これらの5つの専攻を主専攻として選択しつつ、▽グローバル・スタディーズ、▽ユース・スタディーズ、▽キリスト教福祉、▽Japanese Studies、▽教会音楽の5つの分野を副専攻として学ぶことも可能。
一方、年齢50歳以上、信仰歴5年以上の人を対象に、大学などの卒業者は最短2年、高校卒業者は4年で卒業時に「学士(神学)」の学位を取得できた「シニアコース」は発展的に解消され、シニアの学生は今後、どの専攻でも学ぶことができるようになる。
神学部としての入学定員(1年次、33人)、編入学定員(3年次、14人)、収容定員(160人)に変更はない。一方、学科再編後、各専攻の定員は設定されなくなる。
牧師を目指す「教会教職課程」はこれまで通り、学部の教会教職専攻2年と大学院の修士課程2年の計4年で変わりはない。また、4年制大学の卒業者などを対象とした1年制のプログラム「教会音楽専攻科」のカリキュラムにも変更はない。この他、在学生は卒業まで現在の課程で学ぶことになる。
TCUは、「プロテスタント福音主義の理念に基づいたキリスト教世界観と召命観を持ち、教派を超えて教会と社会で、世界宣教の志を持って神と人に仕えるクリスチャンを養成すること」を教育目標として掲げている。山口陽一学長は今回の発表で、学科再編について「教育目標において建学の精神をより明確」にするものだとし、「30周年を期して行う大学改革にご期待ください」と述べている。
なお、これらの発表は予定であり、内容は今後変更される可能性もあるとしている。