東京基督教大学(TCU)の英語教育主任、ジョセフ・ポーシャック教授が先月、聖書を使って英語を学ぶウェブサイト「Learn English Bible」を開設した。このサイトは、「多読(Extensive Reading=ER)」と呼ばれる言語習得方法に基づいて作られており、簡単な英語訳の聖書を繰り返し読むことで、楽しみながら容易に英語を学ぶことができる。日本で英語教育に携わって20年になるポーシャック教授は、英語力を上げたいと思っている人にとって、「多読」は非常に効果があると話す。
1)辞書を引かなくても理解できるくらい簡単で、2)自分が楽しいと思える内容の文章を、2)たくさん読む。多読のルールは、このたった3つだけ。この方法で、300万語の英文を読み続けると、なんと1年間英語圏に留学した人と同レベルの英語を習得できるのだという。大切なのは、自分のレベルを正しく見極めること。ポーシャック教授によると、全体の「95~98%」の単語が理解できる文章が、自分に合ったレベル。「90%の単語が分かれば大丈夫と思っている日本人が多いが、それはネイティブでもお手上げなレベルです」と言う。
多読は、世界各国の学者によって研究が積み重ねられている。ポーシャック教授も、10年前の学会でハワイ大学の教授の発表を聞き、自身の指導法に多読を取り入れ、「Bee Oasis」という多読支援サイトを開設。利用者が各自のレベルに合った英文を毎日楽しく読むことができるように、幅広いジャンルの内容の英文を提供し続けてきた。また、実際の英語教育の現場でも、多読は大学生の英語力向上に効果を発揮してきた。
今回、「Learn English Bible」が新設されたのは、「聖書を英語で読みたい」というクリスチャンの学生たちの声に応えてだ。授業の中で、多読のために好きな本を持ってきなさいと言うと、多くの学生たちが聖書を持ってくる。しかし、大抵の場合、それらは難しい英語で書かれた聖書。そこでポーシャック教授は、「多読が“拷問読”にならないように」と、簡単な英語訳聖書の紹介をスタートさせた。
「Learn English Bible」は現在、高校3年生・大学1年生レベルに合わせた「New Testament」と「Bible Stories」の二つのコンテンツを展開している。特に後者は、子ども向けの英語訳聖書に、ポーシャック教授がさらに読みやすく手を加えている。「Learn English Bible」は全て英語で書かれているが、「読めるわけない」とすぐにページを閉じてしまう前に、まずはこちらの英文を読み始めてみてほしい。「あれ、ほとんど意味が分かる」と実感できる人が多いのでは。「読めた」という喜びが、多読を続ける原動力になる。
多読は単に、単語力、読解力を高めるだけではなく、異文化を理解する総合的な力を身に着けることができる、とポーシャック教授は話す。また、文章を多く読むということは、言語教育だけではなく、健康で平等な社会を作り出すためのあらゆる面で効果的であるという。米国では、日常生活の中で文章を多く読む人ほど、正しい情報を得ることができているという調査結果も発表されているのだとか。
「読む文化を守り、広めていくことに使命を感じている」。ポーシャック教授は、多読と聖書研究の関係についても同じことが言えるのではと話す。聖書を理解するためには、何よりもまず、たくさん読むことが大切。そうすることで聖書全体の世界観を総合的に理解することができるという。「Lean English Bible」で読む英文は、まさに聖書そのもの。毎日読み進めれば、英語力も高まり、聖書の理解も深まる。まさに一石二鳥のサイトだ。
サイトのコンテンツは、これからさらに充実していく予定。 英語力を上げたい、英語でも聖書を読みたい、そんなあなたは今すぐ「Learn English Bible」を Check it out!