聖書の中にも互いに矛盾するところがある、それでも真理の書といえるのか。
聖書は前後千数百年の間にわたり、しかもおおむね中近東の各地に生きた40数人の著者への啓示をまとめたものです。この時空の隔たりを考えると、本来ならたくさんの食い違い、齟齬(そご)、つじつまの合わない点が出てきて当然です。
しかし、聖書は趣旨において乱れも矛盾も食い違いもありません。ただし、神はそれら著者の生い立ちや立場や個性やらの多様性を活用して真理を記述させましたから、表現の末端で違いが生じているように見えるところがないとはいえません。それはむしろ“自然”なのであって、正しさを示すものです。逆に、整い過ぎると人為的加工を疑わねばなりません。
例えば、上の図では4つの方向から見ています。同じ物体ですが、見る方向によって影の付き方などが少し違うのは当然です。(イエスの伝記が四福音書で少しずつ違うのは、このような関係で説明できるでしょう。)
また、普遍的な大真理と、ある時代ある状況で妥当する小真理が、ある場面で違うように現れることがあるかもしれません。ですから、一読して矛盾しているように見えても、深く読むと、これらを調和させて読むことができます。聖書はやっぱり真理の書です。
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