福音宣教が困難とされるアジアの各地で先駆的な伝道の働きを展開している福音伝道者のレイモンド・ムーイ氏が20日、東京都内で講演し、約110人が集まった。ムーイ氏は、キリスト教徒への迫害が激しいインド北部パンジャブ州で体験した神の御業を証しし、「神は単に私たちの必要に応じて働かれるのではなく、私たちの信仰に応じて働かれる。神のご計画がある。神は、私たちが状況に振り回されるのではなく、神の御心を知ってほしいと願っておられる」と訴えた。
ムーイ氏はマレーシア出身。生後間もなく親に捨てられて孤児院で育ち、絶望の中からキリスト教に出会い、米国の神学校を卒業して牧師となった。マレーシアで設立した神学校は、瞬く間に東南アジア5カ国へと拡大し、今では毎年500人以上の卒業生を世界各国に送り出している。特に福音宣教が困難とされるミャンマー、タイ、カンボジア、インドネシアなどを中心に、アジアの各地で数万人規模の伝道集会を開催している。集会では毎回、顕著な癒やしの奇跡が起こされている。
講演でムーイ氏は、使徒言行録16章で、パウロとシラスが投獄という絶望的な状況の中で神を賛美していた箇所を取り上げ、「彼らは神のなさる奇跡だけを見ていたのではなく、神がどういうお方なのかを知っていた。神は全知全能であり、神にできないことはない」と強調。「重い重荷を背負い、まるで牢獄(ろうごく)の中に閉じ込められているような、誰もあなたを助けることのできないほど絶望的な状況があるかもしれない。人生の行き止まりのように見えても、神はその先に新たな道を開くことができる」と話した。
多くの困難を乗り越えてパンジャブ州で開催した野外伝道集会では、毎回多くの人々が救われ、さまざまな病が癒やされた。それだけでなく、普段はキリスト教に否定的な地元のメディアが、イエスの名によって行われた明確な神の御業を目の当たりにし、集会の様子をそのまま肯定的に報じるという出来事もあったという。
集会の数週間前には、地元の牧師が狙撃され、死亡するという事件があったばかりだった。ムーイ氏は、「神のご計画があり、神の御心があるからこそ、そこに向かった。エリコのような強固な城壁の立ちはだかる状況に置かれたとき、一体何が最後に起こるのか、神の御心に従って物語を描くことのできる人になってほしい。奇跡は、あなたのことを待っている」と呼び掛けた。
集会の後半では、ムーイ氏が病の癒やしを祈り、多くの参加者が癒やしの奇跡を体験した。両肩の重い神経痛に長年悩んでいた女性は、集会中に痛みが完全に取れたことを喜びながら証言した。また、自転車の事故で20年以上前から足に鋭い痛みがあり、医師から回復は不可能と言われていた女性が、集会中に症状が急に治まったことを驚きながら証しした。