「タクシードライバー」「レイジング・ブル」の脚本家として知られるハリウッドの巨匠ポール・シュレイダーが、構想50年の末に完成させた渾身(こんしん)の作「魂のゆくえ」が4月12日に公開される。戦争で失った息子への罪悪感を背負って暮らす敬虔な牧師が、自らの所属する教会が社会的な問題を抱えていることに気付き、徐々に信仰心が揺らいでいく様子を衝撃的に描いた作品だ。
トラーは、米ニューヨーク州北部の小さな教会の牧師。ある日、トラーは礼拝に来た若い女性メアリーから、環境活動家の夫マイケルが思い悩んでいるので相談に乗ってほしいと頼まれる。仕方なく出向いたメアリーの家でマイケルと話したトラーは、マイケルが地球の未来に思い悩むあまり、メアリーのお腹の子を産むのに反対していることを知る。
必死に説得を始めるトラーだが、心の底ではマイケルに共感し、自分の説明に納得のできないもう一人の自分がいた。一方、トラーは自分の所属する教会が、環境汚染の原因を作る大企業から巨額の支援を受けていることを知る。本当の正義とは一体何なのか。トラーの信仰心は徐々に揺らぎはじめ、やがて怒りにも似た感情が彼をむしばんでいくのだった。
牧師でありながら内なる葛藤を抱える主人公トラーを熱演するのは、実力派俳優イーサン・ホーク。彼を頼る若い女性メアリーは、「マンマ・ミーア!」「レ・ミゼラブル」などのスター女優アマンダ・セイフライドが演じる。
今年度の賞レースでも大きな話題を集めており、アカデミー賞ではポール・シュレイダー自身初となる脚本賞にノミネートされ、受賞への期待が一気に高まっている。
「魂のゆくえ」は、4月12日からヒューマントラストシネマ渋谷、シネマート新宿ほか全国で順次公開される。
■ 「魂のゆくえ」予告編