殺人罪で服役中の南アフリカの元パラリンピック陸上選手、オスカー・ピストリウス受刑者(32)が、刑務所内で「筋金入り」の受刑者らと毎週、聖書の学びをしているという。
ピストリウス受刑者は先天性の障がいのため、生後11カ月で両足の膝から下を切断。しかし、両足義足のランナーとして活躍し、両足切断者クラスの100、200、400各メートル走で世界記録を達成。南アフリカでは英雄的存在だった。
だが2013年、自宅で恋人のリーバ・スティンカンプさん(当時29)を銃で殺害。ピストリウスは侵入者と間違えたとして無罪を主張したが、16年に殺人罪で有罪が確定した。
父親のヘンケ・ピストリウスさんは英タイムズ紙(英語)に対し、ピストリウス受刑者が聖書の学びを行うことで、「(他の受刑者に)変化をもたらしている」と語った。
有罪となったことには違いないが、「(息子は)昔から本当に神の子どもだった」とヘンケさん。ヘンケさんによると、聖書の学び会に毎週参加しているのは刑務所内でも、「筋金入り」の受刑者たちばかりで、結果としてピストリウス受刑者の状態にも改善が見られるという。
「オスカーが刑務所内の環境をより良い方向に変えていることは確かです。息子は他の受刑者の間を取り持つことで、良い影響を与えています。
息子は、自分が他の人に変化をもたらしていることを自覚しています。彼らには変わることが本当に必要です。彼らが変わることで、人生に意味と目的と希望が与えられています。その結果、息子の状態も良くなりました。これは素晴らしい話です。
彼らは筋金入りのワルで、刑務所内でも厄介者ですが、週に1、2回みんなで集まって聖書を学んでいます」
スティンカンプさんの母親のジューンさんはクリスチャンで、公判ではピストリウス受刑者を赦(ゆる)してはいるが、娘を死なせた償いのために服役を求めていた。同じくクリスチャンである父親のバリーさんは法廷で、次のように語っている。
「娘は、オスカーを赦すことは正しいと思っているはずです。だからといって、犯された犯罪が帳消しになるわけではありません。彼は、罰を受けなければならないことを理解しなければなりません。
妻は彼を赦しました。人生において前に進むためです」
ピストリウス受刑者は16年の有罪確定時、禁錮6年の量刑を言い渡されていたが、その後、検察側が量刑が軽過ぎると主張。最高裁がこれを認め、禁錮13年5月に引き上げられた。ピストリウス受刑者は不服を申し立てたが、最高裁は昨年4月、不服申し立てを棄却している。