【CJC=東京】フランス司牧訪問中の教皇ベネディクト十六世は、フランス司牧訪問初日の9月12日午後、パリ市内のコレージュ・デ・ベルナルディンで学術文化界の人々との集いを持った。バチカン放送(日本語電子版)が報じた。教皇は「西洋神学の起源とヨーロッパ文化の源泉」というテーマで講演を行なった。
教皇との集いには、クリスティーヌ・アルバネル文化相、バレリー・ジスカールデスタン元大統領、ジャック・ルネ・シラク前大統領をはじめ、フランス文化界からの約700人、およびユネスコ関係者、イスラム教代表者らが参加した。
中世建築様式のコレージュ・デ・ベルナルディンは、1245年、クレルヴォーのシトー会修道院長エティエンヌ・レキシントンが神学研究所として創立した。現在はパリ教区の文化研究センターとなっている。
修道生活が貴重な伝統文化の宝庫としての役割を果たしてきた時代を思い起こされた教皇は、西洋修道文化の本質とは何かを再考することで、ヨーロッパ文化の源となっているものに光を当てた。教皇は修道生活の目的を一言で「神の追求」と述べ、神の追求とは、時代の潮流の中で永久に変わらないもの、命そのものを追求することであると述べた。
また、み言葉は自分だけでなく他の人々への注意を促し、同じ信仰を歩む人々との交わりに導くことから、神の追求は共同体への関心へとつながっていったとも指摘し、さらに、み言葉は人を神との絶え間ない対話に招くが、特に詩編は神との対話に適した、祈りに欠かせないものとして、それに伴う音楽的発展が続き、その音楽は天上の音楽と調和するべく崇高なものへと昇華されていった様子を語った。
一方で、祈りと共に修道生活のもう一つの柱である「労働」にも言及された教皇は、創造される神、その創造のみ業に共に参加するという意味で、手仕事、作り出すということはキリスト教修道生活の基本をなすものであったことを紹介、修道生活に代表される、み言葉の文化、そして労働の文化の双方が、ヨーロッパ世界の発展と形成に欠かせないものであったと説いた。
教皇は、同日夕、パリのノートルダム大聖堂で教会関係者と共に夕べの祈りを行った後、大聖堂前に集った若者たちに挨拶した。聖堂前広場の参加者はおよそ1万5千人、広場に入りきれなかった若者たちはセーヌ沿岸に集った。
教皇は、若者たちに信仰の宝として、先の世界青年の日大会の主題であった「聖霊」、生誕2000年を記念する使徒聖パウロの人生の中心であった「十字架」の二つのテーマについて話した。