【ジュネーブ=ENI・CJC】世界教会協議会(WCC)のサミュエル・コビア総幹事は中東紛争の現状を「もう一つのアパルトヘイト」と評価、中東の「正義の平和」のために働くことを教会に求めた。
WCCがスイスの首都ベルンで9月10〜14日に開催した「約束の地」会議は、イスラエル・パレスチナの現状に関する神学的な展望を議論するためのもの。「紛争の核心は、単なる宗教対立ではなく、深層における宗教の次元の抗争である」とコビア氏は開会式で語った。
中東紛争の当事者は、自らのポジションを、「神からの委託でありつつ全くの善と全くの悪の対立」だと考えられる、とコビア氏は参加者に語った。それでも、キリスト者は、「具体的な政治的なプロジェクトや制度を神の意志に帰する理念的は試みに挑み、それを解体しなければならない」と言う。会議には世界各地から神学者や教会指導者約65人が参加した。
「中東で全ての宗教が正当な地位を占めることを重んじる一方、宗教支配の神秘性を除去し、その実態を明らかにするという役割を教会が担っている」とコビア氏は語った。
コビア氏は今回の会議を、かつての南アで少数白人政権によるアパルトヘイト(人種隔離)政策と戦う「人種主義反対プログラム」の中でWCCが組織した会議と対比させた。「1970年代と80年代の南アのアパルトヘイトに対する苦闘の時以来、WCCが開催する会議にこれほど積極的な反応があったことはない」とコビア氏は言う。