100年以上前に造られた明治時代後期の国産オルガンがこの程修復され、オルガンを所有する日本基督教団・大溝教会(滋賀県高島市、浅見文博牧師)の14日の礼拝で、50年ぶりにその音色を響かせることになった。地元の京都新聞などが伝えた。
今回修復されたオルガンは、明治から大正にかけてオルガンの製造などを手がけた「辻ピアノ・オルガン製造所」製のもの。1950年代後半から故障で音が出なくなったが、教会では修理されずにそのままにされてきた。しかし、同教会の創立者である分部光謙(1862〜1944)が宣教を始めて今年で100周年を迎えるにあたって、約1カ月の修理を経て明治時代の音色が再び奏でられることになった。
近江大溝藩最後の藩主(第12代目)であった分部光謙は、東京から旧大溝藩に帰郷した後、1908年(明治41年)から伝道を開始。翌年から自宅で聖書研究会を開くようになり、同教会が設立された。1913年からは日曜学校も始まり、1934年には現在の会堂が建てられた。オルガンは東京から帰郷した際、持参したもので、芳子夫人が定期集会の演奏で用いたという。
大きさは、高さ92センチ、幅88センチ、奥行き41センチ。外枠はヒノキなどで造られており、鍵盤はセルロイド製で49鍵。「辻オルガン」は国内でも数台しかないとみられ、浅見牧師は「貴重なオルガンと分かり大切に守っていきたい」(同紙)と語っている。