東京、大阪、新潟の各地で活躍するゴスペルアーティストが集い共演する「ジャパン・ゴスペル・フェスティバル」が6日、新宿文化センター(東京都新宿区)で開催された。今回が初開催であったが、第一線で活躍する出演者とともにゴスペルを楽しもうと、全国から約800が参加。出演者、参加者合わせて総勢1000人でゴスペルを歌い上げた。
フェスティバルの初めに登場したのは、今年6月に新しくオープンしたゴスペルスタジオ「GOSPEL SQUARE」のメンバー。ゴスペルを通して国際協力を行う「NGOゴスペル広場」(ナナ・ジェントル代表)が運営するスタジオで、当日はナナ・ジェントルのほか、本場ニューヨーク出身の現役ゴスペルシンガーで、同スタジオの人気特別講師でるシャニータ、ソロシンガーとして活躍する今角夏織も出演。初めてゴスペルに出会ったとき、教会のみんなが「全身全霊で歌っている空気に感動した」というナナ・ジェントルとともに、メンバー110人が全身全霊でゴスペルを歌った。
次に登場したのは、米国の黒人教会でも音楽指導を行い、現在新潟を中心にクワイア指導や各種ステージを手がけるBro.Taisukeと、Bro. Taisukeが06年に東京で活動をスタートさせた「東京 Bro. Taisuke Gospel Choir」。初めは2人だけで始まったというが、総勢50人が出演。東京では数少ないトラディショナルな曲をレパートリーに持つクワイアとして、ゴスペルがまだ確立されていない1880年代のスピリチュアルなどを披露した。
また、来年結成10周年を迎える関西屈指の実力派ゴスペルグループ「Everlasting Joy」(Bee 芦原代表)は、メンバー各自がプロシンガーとして活動するというクオリティの高さとともに、「みんなが参加できるステージ」を信条に活動する大阪ならではの優れたエンターテイメント性で観客を引き付けた。
フェスティバルでは、米国の大ヒット音楽映画「ブルース・ブラザーズ」のワンシーンも再現された。ならず者の主人公が、神を信じ、自分の出身孤児院のためにバンドを結成するという黒人教会の礼拝シーンを出演者全員で再現。映画ではファンクの帝王と呼ばれるジェームス・ブラウンが扮した牧師の役を Bro. Taisuke が演じ、聖書の言葉も引用しながら、「暗闇にずっと住み続けていたが、やっと光を見つけた」と自らの証を語った。
このほかフェスティバルでは、ゴスペル・ジャズの発祥地であるニューオーリンズのセカンドラインスタイルバンドとして活躍する「夢ブラスバンド」によるミニライブが行われ、最後には出演者全員と、フェスティバルの事前に行われたワークショップ参加者による「JGF Workshop Choir」でフィナーレを飾った。
フェスティバルを主催した一人であるナナ・ジェントルは、「主催者が3人いることや、規模が大きかったことから、準備は予想以上に大変だった」と言うが、当日のメンバーの笑顔や開催後に寄せられた感想などから「やってよかったと心から思いました」「ゴスペルを多くの人たちに紹介し、楽しんで心から歌ってもらうことが、神様からいただいた私のライフワークであり使命だと思っています」と語った。
今回出演したゴスペルアーティストのナナ・ジェントル、Bro. Taisuke、Bee 芦原ら3人は、11月2日に東京・渋谷のSYDホールで開催される「Gary Hines Gospel Workshop」でも共演する。11月のワークショップには、米国ブラックミュージックの第一人者としてグラミー賞ゴスペル部門で3回の受賞経験があるゲイリー・ハインズのほか、合計6人の日本人ゴスペルアーティストが参加。NGOゴスペル広場が今年5月に開催したチャリティー・ゴスペル・マラソンと同じコンセプトで行われ、参加費の一部が国際支援に当てられる。詳しくは、公式ホームページまで。