【CJC】チリのカトリック教会の司教34人が18日、同国でのカトリック聖職者らによる児童性的虐待スキャンダルを受けて辞任する意向を明らかにした。
チリの聖職者による児童性的虐待の告発を受け、ローマ教皇フランシスコは同国の司教らをバチカン(ローマ教皇庁)に招集、3日間の集中的な協議を行った。
これら司教が発表した声明によると、辞意を示したのは現役の司教31人と引退司教3人。1国の司教全員の同時辞任はカトリック教会の歴史で前例がないとみられている。バチカンの報道官は、教皇が今回の一斉辞任を認めたのかの事実確認は避けた。
教皇は17日、チリの司教らへの短い声明文の中で「正義を取り戻す」ために同国のカトリック教会への「改革」を約束したことを発表した。
だが、米メディア「CNN」によると、チリのテレビ局「T13」が18日に暴露した、協議の最初にチリの司教らに手渡された10ページの極秘文書の中では、教皇はさらに踏み込んだ言及をしている。
同文書は、「犯罪」と「未成年者に対するつらく恥ずべき性的虐待、権力乱用、聖職者らの善悪の観念」について喚起。さらに、一定の司教を解任する措置は必要ではあるが「不十分」であるとし、チリのカトリック教会の「エリート主義者と権威主義者」がこうした性的虐待を許容した「根源」を調査するよう要請している。
渦中にあるのは、オソルノ教区のバロス司教で、虐待の事実を知り、隠蔽(いんぺい)に携わったともされる。ただ、教皇は自らが2015年に任命した同司教を強く弁護し、非難は中傷に等しいとも主張していた。
しかし、4月にバチカンの調査報告書を受けた後、判断で重大な過ちを犯したと教皇は認め、チリの虐待被害者への謝罪を表明していた。5月にはバチカン内で同司教の主要な告発者3人と私的に面会し、赦(ゆる)しを求めてもいた。