地球の裏側南米のチリに、邦楽ロックと日本のアニメが大好きで、日本語で作詞したオリジナル曲を演奏、ウェブサイトにも日本語ページを作成してしまったというクリスチャン・ロックバンドがいる。バンド名は「VICTORIANO(ビクトリアノ)」。「日本の人たちに心を込めて歌を届けたい!」。そう願う彼らがついに来日、10月に日本各地を回って開催される「The Extreme Tour(エクストリームツアー)Japan 2016」に参戦することが決まった。
ビクトリアノは、2006年にチリのサンチアゴ市でセルヒオとジェルソンのビクトリアノ兄弟によって結成されたロックバンド。現在のメンバーは、ジェルソン(ギター、ベース、ピアノ、作詞作曲)、セルヒオ(ボーカル、ドラム)、ダミエン(ドラム)。当初は母国語であるスペイン語だけで曲作りをしていたが、兄弟が幼い頃から日本の文化や日本語に深く興味を持っており、次第にオリジナル曲を日本語に翻訳するようになった。
チリは全人口の約9割がカトリックだが、3人はプロテスタントで、その信仰が一番はっきりと表れているのは「A Matter of Faith」という曲、日本語に翻訳されている「神の許しがない」という曲の歌詞は、ルカによる福音書12章10節にヒントを得たのだそう。
■ビクトリアノ「神の許しがない」
14年に最初のアルバム「ビクトリアノ」をリリースすると、サンチアゴ市内で「ラテンアメリカで最初に日本語のオリジナル曲を作ったロックバンド」として知られるようになり、現地で開催される大規模なアニメフェスティバルに出演するなど活躍の場を広げている。
チリと日本の架け橋になることを目標としている3人は、バンドのホームページも日本語で作成し、SNSでは日本語で情報を投稿するなど、日本の人々に向けて熱心にメッセージを送り続けてきた。
今年3月、ユーチューブにビクトリアノを紹介する動画(【爆音】大暴れのチリ人ロックスター【南米縦断#11】)が投稿され、「遠く離れた国に日本を愛するバンドがいる」と話題になった。「CDを買いたい」「日本で彼らの曲を聞きたい」と願う声も多く聞かれる中で、昨年からコンタクトを取っていた日本ツアーのコーディネーターを務める中峰崇裕さんが、現実的に来日が可能かビクトリアノに打診。「ぜひ日本に行きたい!日本で演奏したい!」という返事を受けて、日本ツアーへの参加が決定した。
■ビクトリアノから、日本へのメッセージ
エクストリームツアーは、1994年に米国で始まったエクストリームスポーツと音楽を通して福音を伝える伝道の働き。日本では2013年から毎年秋に、海外のアーティストを招いて、日本のアーティストと共に約3週間の国内ツアーを行っている。4回目を迎える今年は、10月1日から22日にかけて開催。「草の根レベルでの伝道」を特徴とするこのツアーは、日本各地の教会や路上を舞台にライブを行い、そこで出会う一人一人に福音を語っていく。
10月8日には、ツアー最大のイベントで、日本初のクリスチャンロック専門レーベル「Calling Records」が主催する「BUSKING SERIES 2016 FINAL」が下北沢のライブハウスで開催。初来日を果たすビクトリアノと、日本のクリスチャンアーティストとの共演が実現する。
日本ツアーには大きなスポンサーがいないため、資金集め、海外ゲスト対応、スケジュールの調整に至るまで、有志のアーティストとスタッフのみの力で行われてきた。今年のツアーは現段階で、首都圏のほかには愛知まで足を伸ばすことが決まっているが、より多くの場所を訪れ、1人でも多くの人にポジティブなメッセージを届けることができるようにと、8月31日まで、日本ツアーの運営費(会場利用費、レンタカー代)のクラウドファンディングを行う。
中峰さんは、「日本のちょうど反対側、遠いチリから、日本のために愛を込めてオリジナルの日本語曲を作り、長年の夢であった日本ツアーを実現させようとしているビクトリアノ。彼らにとっては初の外国体験であり、私たちもまたとないこの機会を楽しみにしています。ここまでの道のりは決して楽なものではありませんでしたが、音楽を通じて、そして可能性を信じることによってさまざまな限界を乗り越えてきたビクトリアノが初来日することで、今年の日本ツアーはさらに盛り上がることになるでしょう」と期待を話し、「クラウドファンディングの進捗次第でツアー訪問先が増える可能性はぐんと広がります!!」と、広く協力を呼び掛けている。
■「南米チリから初参加!日本語ロックバンドVICTORIANO(ビクトリアノ)を応援しよう!!」クラウドファンディングはこちら。