米シカゴ郊外にあるメガチャーチ、ウィロークリーク・コミュニティー教会の創立者であり主任牧師であるビル・ハイベルズ氏は10日、予定よりも半年早く引退すると同教会の集会で表明した。ハイベルズ氏は、性的不品行疑惑が取り沙汰されており、これまで自身の潔白を主張していた。
「私は今年10月に予定していた引退日を、今夜に早めることにしました。この決定は私だけで決めたものですが、多くの話し合いの末、私の決定は長老会(役員会)から全員一致で支持を得ました」とハイベルズ氏は声明(英語)を読み上げた。
「リン(ハイベルズ氏の妻)と私はこの状況を注視する中で、今回の一件がこの教会の長老会や教会スタッフ、WCA(ウィロークリーク協会=同教会の関連団体)の職員の素晴らしい働きに支障をきたしているのを見ることは非常につらいことでした」
「ウィロークリークの指導者たちの貴重な時間やエネルギーが別のことに奪われてしまうことで、彼らの働きが立ち行かないことがますます明らかになりました。私たちの教会やWCAの指導者たちには、神が与えてくださった使命を果たすための自由が必要です」
地元紙「シカゴ・トリビューン」が先月報じた広範な調査記事(英語)によると、ハイベルズ氏は多数の性的不品行疑惑を否定している。疑惑の中には既婚女性との合意の上での情事もあるが、後に女性は主張を撤回している。
また同紙によると、ハイベルズ氏には複数の女性に対する思わせぶりな言動や長々としたハグ、意に反した口づけ、ホテルへ誘うなどの行為をした疑惑が挙げられている。しかし、教会側が依頼した調査では、それらの主張を立証することはできなかった。
かつて同教会で奉仕し、現在はカリフォルニア州のメンロー教会(礼拝出席者4千人)の主任牧師を務めているジョン・オートバーグ氏は自身のブログ(英語)で、ハイベルズ氏に対する調査は「お粗末」で、ハイベルズ氏の告発者らを「重大なリスク」にさらしていると述べている。
ハイベルズ氏は10日の発表で、自身の潔白をそつなく主張し、一部の疑惑については「誤解を招くものだ」と述べ、その他の疑惑については「まったくの誤り」だとした。しかし、一連の告発によって「目が覚めた」とも述べている。ハイベルズ氏は、時には人との関わりにおいて認識が甘かったことを認めており、自身の行動の一部は誤解されていると強調した。
また「最近、私は多くの身に覚えのないことで告発されています」と述べ、過去の集会では、口づけや合意の上での情事に関する告発はまったくの誤りだと述べている。
ハイベルズ氏は、他の疑惑については次のように述べた。「過去の特定の状況や環境において私が伝えたことが、私の意図していない形で認識されてしまいました。時には人々に不快感を与えたこともありました。そのことの故に、私は非常に残念です」
「避けた方が賢明だったであろう状況に、自分の身を置いたことが多過ぎました。そのような状況によって生み出される結果について、私の認識が甘いこともありました。私の側に知恵が足りなかったことを、残念に思っています。今後は同様の状況に身を置かないよう、肝に銘じます」
ハイべルズ氏の告発者の中には、ハイベルズ氏がスウェーデン訪問中の1998年2月に「一線を越えた」と主張した、同教会元職員のボンダ・ダイアーさんがいる。
ダイアーさんによると、ハイベルズ氏はホテルの部屋にダイアーさんを呼び寄せ、ワインを注ぎ、ハイベルズ氏のソファーでくつろぐよう勧めた。そして、自身は睡眠導入剤「ゾルピデム」を服用したことを伝えたという。
その直後に状況は一変した。ハイベルズ氏は、ダイアーさんの外見を褒め始め、彼女の夫を批判し始めた。その後、ハイベルズ氏は、2人で同教会を一緒に導こうと提案した。ハイベルズ氏はダイアーさんの腰に手を回し、腹部をなでたり、キスをしたりしたという。
「彼は、私の容姿について思ったことをとても具体的に話しました。また、私のリーダーシップの賜物や長所について思ったことを話しました」と、ダイアーさんは同紙に語った。
ダイアーさんは、ハイベルズ氏にやめるよう言い、部屋を去ったという。
一方、ハイベルズ氏は「そのようなことは、まったくありませんでした」と述べ、彼女の腹部に触れたり、キスしたりしたことを否定している。また、死ぬまでダイアーさんの話をうそだと呼ぶと強調した。
ハイベルズ氏は昨年10月、1年後の今年10月に引退すると発表していた。すでに後任者も発表されており、ヘザー・ラーソン氏が主任牧師、スティーブ・カーター氏が教育主任牧師となることが決まっている(関連記事:米ウィロークリーク教会のビル・ハイベルズ牧師、男女2人の牧師を後継者に指名)。
同教会の長老会や指導部はハイベルズ氏を支持してきたが、ハイベルズ氏自身が騒動の幕引きを図るため、早期の引退を決めた。同教会の主任牧師のほか、今後はWCAが世界130カ国で開催している「グローバル・リーダーシップ・サミット」(GLS)での奉仕や主催者の役割からも身を引くという。
「これも私の決断だったのですが、話し合いと祈りの後、この件についてもWCA理事会が同意しました」とハイベルズ氏は述べた。
「私は自分自身を謙虚に内省し、神が私に教えたいことを見極める必要があると感じています。私は賢明なカウンセラーや信頼できる友人たちの中に身を置き続け、私の人生について率直に助言するよう頼むつもりです。そうすることによって、私が今回のことから学ぶべき教訓をことごとく学ぶためです。私はこの決定についてまったき平安を感じていますので、このプロセスを急ぐことはありません。今後の内省の期間中、お祈りいただけますようお願い致します」
パム・オール氏は長老会を代表し、「私たちは多くの理由で深く悲しんでいますが、ビルの在任期間の終わりを取り巻く環境を鑑み、私たちは彼の決定を受け入れ、見守ります。神が普通の人々を用いて良き働きをなさることを、私たちは感謝しています。また、ビルが過去42年間、神の召しに従い、教会と神の国に仕えてくれたことにも感謝しています」