「アジアのビリー・グラハム」として知られる韓国人伝道者ビリー・キム氏(83)と、「南米のビリー・グラハム」と称されるアルゼンチン出身の伝道者ルイス・パラウ氏(同)が、全米宗教放送協会(NBR)の殿堂入りを果たした。米テネシー州ナッシュビルで先月末、NBR主催によるキリスト教メディアの国際会議「プロクレイム18」が開催され、その中で授賞式が行われた。
NRBの殿堂は、NRBが贈る賞の中で最も権威ある賞。キム氏は45年余り牧師として仕え、現在はキリスト教ラジオ放送局「韓国FEBC」の会長を務めている。一方、パラウ氏は世界各地で伝道集会を開催し、ラジオ放送なども含め、伝道者としての65年余りの歩みの中で2200万人に福音を伝えてきた。
NRBによると、この賞は「最高の水準でキリスト教コミュニケーションの分野に大きく貢献し、イエスにあって忠実に仕えたNRB会員」に授与される。殿堂入りという「栄誉と特権」にあずかったキム氏は、NBRが「このような韓国の下働きに、このような誉れある賞」を授与したとして感謝を示した。
キム氏は韓国で最も著名な伝道者の1人。水原(スウォン)中央バプテスト教会の主任牧師に就任した1959年当時、礼拝の出席者は十数人しかいなかったが、キム氏が引退した2004年には、教会員が1万5千人を超えるほどに成長した。韓国で水原中央クリスチャンアカデミーや首都聖書神学大学などのキリスト教系学校を複数創設したほか、信仰生活に関する複数の著書を出版している。また2000年には、110年余りの歴史を持つバプテスト派の世界組織「世界バプテスト連盟」(BWA)の会長に、アジア人として初めて選出された。
NRBのジェリー・A・ジョンソン会長は「キム氏をNBRの殿堂に迎え入れることは、福音のためにキリスト教放送を通じて世界的な影響をもたらしていることを考慮すれば、実に理に適っています」と語った。またキム氏を「ユーモアのある主イエス・キリストの伝道者であり、世界中のキリスト教コミュニケーターの模範」とたたえた。
授賞式の後、キム氏は先月末に亡くなったビリー・グラハム氏の葬儀のために、ノースカロライナ州シャーロットに移動し、葬儀では海外からの来賓の代表としてあいさつした。1973年にソウルで行われたクルセードでグラハム氏の通訳を務めたキム氏は、最後にグラハム氏と会ったときの思い出を回想。グラハム氏は「韓国でもう一度、クルセードをしましょう」とキム氏に語ったという。
一方、今年1月に末期の肺がんと診断されたパラウ氏は現在、化学療法を受けており、息子のアンドリュー・パラウ氏が代わりに賞を受け取った。動画であいさつしたパラウ氏はNRBに感謝を示し、次のように語った。
「率直に言って、受賞に値する人は大勢います。私だけではありません。私たちはただ長年続けただけに過ぎません。私はこの栄光をイエス・キリストと父なる神、祝福された聖霊にささげます。私は救い主の卑しい僕(しもべ)です。すべては十字架のためです。十字架がすべてです。十字架がなかったら、私たちは皆、永遠に裁かれていたでしょう」
NRBの殿堂入りを果たしたキリスト教指導者には、チャールズ・チャック・コルソン(元米大統領特別顧問)、ケイ・アーサー(キリスト教作家)、ジョニー・エレクソン・タダ(車いすの伝道者)、ジョン・F・マッカーサー(テレビ伝道師)、R・C・スプロール(カルヴァン主義神学者)、W・A・クリウェル(元南部バプテスト連盟議長)らがいる。
プロクレイム18は、NRBの創立75周年を記念して2月27日〜3月2日に行われ、初日には特別ゲストとしてマイク・ペンス米副大統領も出席し、スピーチを行った。