沖縄・米軍北部訓練場のヘリコプター離着陸帯(ヘリパッド)移設工事をめぐり、反対運動中に防衛省職員にけがを負わせたとして、傷害などの罪に問われていた男性牧師(32)=神奈川県大和市=に対し、福岡高裁那覇支部は19日、1審判決を一部減刑した上で、懲役1年、執行猶予3年の判決を言い渡した。共同通信などが同日伝えた。
牧師は2016年8月25日、ヘリパッドの移設工事の反対運動中に、防衛省・沖縄防衛局の男性職員の肩をつかんで揺さぶるなどの暴行を加え、公務執行を妨害し、打撲など約2週間のけがをさせたとされている。
同通信によると、同高裁那覇支部の裁判長は判決理由で、牧師が犯行を主導したとは言えないものの「明らかに行き過ぎた行為」だったと指摘。一方、防衛局職員のけがは軽度で、懲役1年6月、執行猶予3年を命じていた1審判決は「重過ぎて不当」とし、懲役を1年に減刑した。
事件をめぐっては、牧師が所属する日本基督教団の一部教区が「ヘリパッド建設への抗議行動を弾圧するために行われた、不当な逮捕」などとする抗議声明を発表。逮捕が、暴行のあったとされる日から約2カ月後であったことや、防衛省職員のけがの内容に対して疑念を示していた。
一方、地元の琉球新報などによると、反対運動のリーダーとして活動していた沖縄平和運動センターの山城博治(ひろじ)議長(65)に対しては14日、那覇地裁が懲役2年、執行猶予3年(求刑懲役2年6月)を言い渡した。山城議長は判決を不服として即日控訴。他の男性2人に対しても猶予刑が言い渡され、一部無罪となった1人は控訴しなかったが、別の1人は控訴した。