スイス中部の都市ツークで10月30日〜11月1日、「金融における信仰」をテーマにした国際会議が開催され、投資家や宗教指導者のほか、国連からの代表も参加した。参加者が関わる宗教関連の投資信託団体は計8宗教500余りに及び、保有資産は計約3兆ドル(約340兆円)に上った。
会議は、英国を拠点とする国際環境保護団体「宗教環境保護同盟」(ARC)が主催した。世界福音同盟(WEA)は、福音主義信仰に準じた投資ガイドライン開発のため、また国連の「持続可能な開発目標」(SDGs)の資金調達面における実現性への懸念から、WEA環境保護特別委員会のクリス・エリサラ委員長と、WEAのビスネス関連部門「ビジネス・コウリション」のルーベン・コールター、ティモ・プラチャンスキーの両氏が代表として参加した。
今回の会議では、キリスト教のほか、ユダヤ教や仏教、ヒンズー教、イスラム教など8つの主要宗教により、信仰に準拠した投資ガイドライン(英語)が初めて発表された。ガイドラインは、貧困と差別のないより良い社会を創出することを目指しており、そのために人類の繁栄と環境保護に適した手頃な価格のクリーン・エネルギーや清潔な水、その他、生態や社会に配慮した物資を利用することなどを求めている。
会議に参加したWEA代表団は、福音派の投資家らが従来の消極的な投資適格審査の壁を越えて、人や地域社会、環境保護に対して積極的に投資するよう、会議で得た情報を役立てたいと願っている。
WEAビジネス・コウリションのプラチャンスキー氏は、「貧しい人々の叫びと被造物の叫びに応えることは、福音主義のビジネスリーダーにとって、投資を通じて何かができるという聖書的な呼び掛けです」と言う。
WEA環境保護特別委員会のエリサラ委員長は、「信仰に合致した積極的な投資ガイドラインを開発すれば、福音主義のビジネスパーソンの励ましとなり、有益なツールになり得ます。そのため私は、この信仰と金融の会議に参加したのです」と語った。
トランスフォメーショナル・ビジネス・ネットワーク(TBN)の最高責任者(CEO)で、WEAのビジネス・奉仕財務委員会の委員を務めるコールター氏は次のように述べた。
「(私は)適切な目標を設定している信仰に準じた投資、また、私たちが反対していることを単に避けるのではなく、私たちが賛成していることを支援することは、人々の生活に大きな影響をもたらすことができると考えています。だから私は投資家として、WEAの環境保護特別委員会とビジネス・コウリションによる、この共同の取り組みに関わっているのです」
信仰と金融をテーマにした次回の会議は、2018年7月21日にスイス中部の都市チューリッヒで開催される。WEAはそこで、福音主義的な投資ガイドラインを発表する計画で、今後は戦略的な投資目標を定め、霊的生活の向上を含めて福音派の信者らの関心事となっているあらゆる範囲の効果が期待できるツールの開発に取り組んでいく。