【CJC=東京】ニューヨークのマンハッタン地区北西部にある、著名なユニオン神学校が10日から、1億840万ドル(約108億4000万円)の資産の内、化石燃料関係への投資全額を引き揚げる計画を開始した。石油・石炭を中心とした化石燃料が気候変動という「罪」を犯しているとして、その償いの一端とする。
「聖書は、世界の全てが神の尊い創造であり、そこでの私たちの位置は全体の健全さに配慮し尊敬すること」であり、「社会正義に献げられた神学校として、この世界でわたしたちの価値を全うするという重要な召しを受けている。気候変動は破滅的な脅威であり、神の創造の管理人として、ただ行動しなければならないのだ」とセレーン・ジョーンズ校長。投資引き揚げは、理事会が一致して決定したもので、米国の神学校では初めての措置という。
ユニオン神学校は資産の11%に当たる約1200万ドル(約12億円)を化石燃料関係企業に投資している。
ユニオン神学校は、これまでもタバコ、アルコール飲料、賭博関係への投資には反対の立場を貫いてきた、と同校投資委員会議長のマイケル・ジョンストン氏。同氏は世界最大の投資会社「キャピタル・グループ・カンパニーズ」の元副社長。大規模ファンドに寄託しているため、具体的な投資先は確認していない。
今回の措置は、今年9月23日にニューヨークで開催される国連気候サミットに先立だって、同校が「地球のための宗教」会議を開催することにも関連付けている。
1980年代、南アのアパルトヘイト(人種隔離)政策反対のために発動されて以来、投資引き揚げは、米国の主流プロテスタント各派の戦略となっている。2013年夏にはキリスト合同教会(UCC)が、化石燃料企業への投資引き揚げを主流教派としては初めて決定した。
少なくとも100の宗教団体、大学、市、郡などが投資を引き揚げたり、引き揚げ検討を始めているという。
ユニオン神学校は、米国の革新的なプロテスタント神学校とされており、ポール・ティリッヒ、ラインホルド・ニーバー、ディートリッヒ・ボンフェッファーなども教えていた。現在、同神学校には学生250人が在籍、教授陣は30人。