アフリカ北東部のスーダンで、アラビア語の聖書を積んだコンテナが2年以上にわたって、説明もないまま当局に差し押さえられている。
迫害関連の情報サイト「モーニング・スター・ニュース」(英語)によると、スーダン港湾局は聖書を積んだ2台のコンテナを差し押さえ、うち1台については抗議後に引き渡したが、アラビア語の聖書を積んだコンテナについては2年以上も引き留めたままにしている。
スーダン聖書協会の関係者が同サイトに話したところによると、聖書は首都ハルツームに送られるものだった。当局による差し押さえにより、ハルツームでは現在、新しいアラビア語の聖書を1冊も入手できない状態にある。こうした聖書の差し止め措置は、過去2年余りにわたって行われているという。
しかし前出の関係者によると、港湾局は最近、差し押さえている聖書を引き渡す方向で検討している様子だ。地元のキリスト教指導者らは、米国が10月中旬、20年に及んだスーダンに対する経済制裁を解除したことで、事態が好転する可能性があると見ている。
同サイトによると、他の聖書配布団体も、スーダン当局から聖書を差し押さえられているとして、苦情を訴えている。当局によるこうした行為は、通常は政治腐敗によるものだが、ユダヤ教やキリスト教の聖典であることを理由に、聖書の輸入を認めない場合もあるという。
スーダンの現政権は厳格なシャリア(イスラム法)を採用しており、教会が破壊されたり、牧師が逮捕されたりするケースもある。キリスト教徒が多数派を占めていた南部が南スーダンとして分離独立したのに伴い、スーダンのキリスト教人口は激減した。2013年4月には、政府が新規の会堂建設を認可しない方針を発表するなどしている。
キリスト教迫害監視団体「オープン・ドアーズ」は、キリスト教徒に対する迫害がひどい国をまとめた「ワールド・ウォッチ・リスト」(2017年版)で、スーダンをワースト5に位置付けている。