日本に住む中国人を「華人」と呼ぶが、彼らが日本人に伝道するためのピアノコンサートが11月25日午後4時から、青山学院大学ガウチャー記念礼拝堂(東京都渋谷区)で開催される。主催者である世界華人福音事工連絡中心・日本区委員会の張元文曜氏(東京国際基督教会長老)と総動員伝道代表の姫井雅夫氏(日本基督教団赤坂教会牧師)による記者会見が10月30日、お茶の水クリスチャン・センター(東京都千代田区)で行われた。
張元氏はコンサートの趣旨について次のように語った。
「今回のコンサートは、宗教改革500年を記念した、日本人への福音伝道の一環と考えています。また、2020年の東京オリンピックにやって来る外国人と交流を持つ中で福音宣教が進み、クリスチャンが増えることを期待してスタートした企画です」
出演するのは、台湾人ピアニストであるサンドラ・シェン。1997年のヒルトンヘッド国際ピアノコンクール、ピアノコンクールモンツー、また2012年のフランスでの国際ピアノコンクールで最優秀賞を受賞。米国、ドイツ、北京、台湾などでコンサートを行い、アジアを中心に福音伝道のための音楽活動も精力的に続けている。
「サンドラさんは昨年、私が所属する東京国際基督教会(東京都渋谷区)の創立60周年記念コンサートで演奏し、日本伝道の気持ちを強く持っていることを証しされました。サンドラさんの音楽は神様を感じさせ、当日もその音楽を聴いて涙を流し、救われた人がいたほどです」
張元氏は、シェン氏の音楽のようにソフトな宣教のほうが日本人には伝わりやすいと考え、今年初め、姫井氏のところに相談に行ったところ、総動員伝道とタイアップしてコンサートを開催することが決まった。また、青山学院大学出身の教会員を通じて学長に会場提供を依頼したら、2つ返事で引き受けてもらえたという。
「昨年、サンドラさんのコンサートを行った時、2日間で600人の華人が集まりました。青山学院大学ガウチャー記念礼拝堂は800人が入れるので、今回は日本人クリスチャンが未信者の友達や家族を連れて来てくれることを期待しています。総動員伝道や青山学院大学に協力してもらって日本の方に呼び掛け、会場を日本人で満席にしたいと願ってます」
華人が自分の住む国で伝道を進めようとする働きは約40年前に始まった。1974年、スイスのローザンヌで開かれた世界伝道国際会議の時、73カ国に住む300人ほどの華人牧師が集まり、世界華人教会福音運動連合会が発足。その後、76年に香港で世界華人福音会議が開催され、そこで同連合会の事務局となる世界華人福音事工連絡中心が設立された。5年に1度、アジア各国で大会を開いており、2021年は東マレーシアでの開催が予定されている。
世界中の華人系教会では、「2020年までに、福音が届いていない地域に福音を届けること」、「住んでいる国で福音伝道および海外宣教を実行すること」をビジョンとして掲げており、日本の華人系教会でも、日本の信者を増やすことを第一のビジョンとしている。
世界華人福音事工連絡中心は宣教団体ではなく、華人系教会の伝道の働きを応援し、支えるのが役割だという。具体的には、日本にある38の華人系教会と連絡を取り合い、来日した華人が礼拝に行きたいと相談してきた時、近くの教会を紹介したりしている。また、教会のないところでは、日本人の教会を貸してもらい、彼らに分かる言葉で礼拝を行う手伝いもしている。
「中国から来る学生やビジネスマンにも福音に触れてもらう機会を持ってもらいたいと思っています。日本で福音に触れ、帰国後、そこで家庭礼拝を持つようになり、さらに神学校に行くようになった人もいます」