衆議院議員総選挙が行われた22日から23日にかけて、台風21号が日本列島を通過。京都府内を中心に甚大な被害をもたらした。日本ナザレン教団花園教会(京都市右京区)でも、教会の屋根が飛ぶなどの被害が出ている。
同教会は1960年、西川勝義牧師によって開拓伝道が開始され、現在の礼拝堂は90年に献堂された。その5年後に阪神大震災に見舞われたが、皿が割れるなどの被害はあったものの、建物自体は無事だった。
今回、被害のあった礼拝堂は、三角屋根の上に十字架の立つ典型的な教会だ。超大型の台風21号によって、京都市内では強風が吹き荒れた。同教会の篠澤俊一郎牧師(37)は被害の様子をこのように話している。
「風によって屋根の一部が落ちたというより、強風に持っていかれたという表現の方が正しいですね。教会が火事で焼けたり、地震で倒壊したりすることは、危機管理の観点からは想定内でしたが、台風で飛ばされた屋根の一部がご近所の車の上に落ちて被害を与えるというのは想定外でした」
篠澤牧師が教会の損傷に気付いたのは、台風が去った23日のこと。教会の隣人に、「これ、お宅から落ちてきたよ」と言われ、初めて教会の屋根が剥(は)がれ落ちているのを知ったという。教会の屋根を外から見てみると、大きな合板が2枚なくなっていた。1枚は落ちていたのを発見したが、1枚は現在もなお行方不明。
何より、車に被害を与えた近所の方への支払いや、屋根の修繕費を含めると、多大な金額になる。篠澤牧師はさらに続けた。
「実は被害の全容がまだ見えていないのです。教会の屋根は急こう配なので、その上に上がって見るのが難しく、またこの状況では、登った途端におそらく壊れてしまうでしょう。そのため、足場を組んで屋根全体を修繕することになると思うのですが、まだその見積もりすらできないのです。経年劣化によって風で飛ばされたものが何かを破損しても、保険にはほぼ頼れません。しかし、今すぐにでも何とかしなければなりません。というのも、2、3枚の合板が浮いているのが下からでも確認できるからです。ただ、京都府内はどこもこのように屋根の修繕依頼が殺到しているらしく、なかなか業者が見つかりません」
天気予報によると、今週末から週明けにかけて、新たな台風22号が日本列島を再び襲うという。浮いた合板が落ちるようなことがあれば、さらなる被害も予想される。
「何とかしたいのですが、とにかく祈ることしか今は手段がない状態です」
同教会では、当面の集会を中止。礼拝については、台風の進路を見ながら、会堂で礼拝を行うか、隣の別館で行うかを判断するという。
「全国の教会関係者の皆さん、どうか私たちの教会のために祈ってください。それから、同じような造りの教会が全国にもあると思います。献堂から時間が経っている教会もあるでしょう。保険の見直しもお勧めします。台風の被害は、日本全国、どのような形で降りかかるか分かりません。皆さんも十分な備えを」と篠澤牧師は呼び掛けている。