米フェイスブック社のマーク・ザッカーバーグ最高経営責任者(CEO)が、同社の新しいミッション(社会的使命)を発表した。ザッカーバーグ氏は、人々をより親密に結び付けることで、人々が存在の目的や意味を見いだすことを助ける必要について言及。今後は、教会や少年野球のクラブのような、人々を互いに結び合わせることを助けるコミュニティーの構築に焦点を当てるという。
ザッカーバーグ氏は6月22日、米シカゴで開催された第1回フェイスブック・コミュニティーズ・サミットで、「今、私たちすべてが行う必要のあることは、人々を互いにもっと近づけるための働きだと思います。そして私は、このためにフェイスブック社のミッション全体を変えるほど、このことが実際に非常に重要だと思うのです」と語った。
20億人近いユーザーを抱えるまでに成長したフェイスブックは、過去10年間、世界をより集中させ、結び付けることに取り組んできたと、ザッカーバーグ氏は説明する。しかし、これはある程度実現したものの、社会は「非常に分裂した」ままだ。それを変えるために、教会や少年野球のチームが行っている方法で、コミュニティーの力を活用したいという。
「私たちのコミュニティーは、私たちが自分よりも大きなものの一部であるという感覚を与えてくれます。そして私たちが一人ではないという感覚、努力すればより良い何かがあるという感覚を与えてくれます。私たちすべては、自分たちのコミュニティーから意味を得ます。そしてそれが教会であれ、スポーツチームであれ、近所の集まりであれ、私たちが自分たちの境界を広げ、より広い問題に関心を持つ強さを与えてくれるのです」
「調査結果が実際に証明するのは、私たちがより深く結び合わされるなら、私たちはもっと幸せになり、さらに健康にもなるということです。教会に行く人々は、彼らが単に宗教的であるからではなく、彼らがまた、コミュニティーの一員であるので、ボランティアをしたり、慈善団体に寄付したりする可能性が他の人々に比べて高いのです」
「教会はただ一緒に集まるだけではありません。牧師は会衆の幸福に気を遣い、会衆の衣食住にも気を配ります。少年野球のチームには、子どもたちを動機付け、もっと球を打つことができるように助けるコーチがいます。指導者たちはその場所の文化を決定し、私たちを励まし、私たちにセーフティーネットを与え、私たちの世話をしてくれます」
同社のこれまでのミッションは、「世界をもっとオープンにし、つなげる」ことだったが、新しいミッションは、「人々にコミュニティーを構築する力を与え、世界をもっと親密にする」ことだ。
コミュニティーズ・サミットには、300人の「モデレータ」(フェイスブック上の管理人の一種)が参加。フェイスブックの「グループ」サービスで、モデレータが使える新しい幾つかのツールが発表されたという。教会の牧師、少年野球チームのコーチのような役割をモデレータが果たすことで、健全なグループの構築を目指すようだ。
特定のコミュニティーを名指しはしないものの、ザッカーバーグ氏は、コミュニティーそれ自体に明らかに力があるにもかかわらず、人々が世界的に「あらゆる種類のコミュニティー」から徐々に離脱していると語った。こうした人々が、フェイスブックの新しい組織的活動のターゲットだという。
「現在、目的意識と支援を他のどこかで見いだす必要のある多くの人々がいます。それで、これが私たちの挑戦となるのです」「私たちは、一人一人が目的意識とコミュニティーを持つ世界を築く必要があります。それこそ、私たちが世界をもっと親密に結び付ける仕方なのです」
どの宗教とも関わりを持たない「無宗教」と呼ばれる人の数が世界中で増える中で、ザッカーバーグ氏はもっと多くの人々が、存在の意味や目的を見いだす手助けをする活動を始める。
米世論調査機関ピュー研究所(英語)によると、「無宗教」は今や、北米と欧州の大半では、キリスト教に続く2番目に大きな宗教グループとなっている。米国に関する調査(英語)では、カトリックやプロテスタント主流派、他の宗教・信仰グループを追い越し、プロテスタント福音派に続く2番目に大きな宗教グループとなり、米人口のほぼ4分の1を占めている。
ザッカーバーグ氏自身は、13歳の時に無神論者であると宣言して以来、この「無宗教」のコミュニティーの一員だった。しかし昨年のクリスマスには、フェイスブック上でユーザーの質問に答え、無神論者であることを否定。「私はユダヤ教徒として育てられ、その後、疑問に思う時期を通りましたが、今は宗教がとても大切だと信じています」とコメントしていた。