南部バプテスト連盟(SBC)は13、14の両日、アリゾナ州フェニックスで年次総会を開催した。初日の13日には、幾つかの神学的教義を再確認し、会員数が減少しつつあり、昨年の波乱含みの大統領選を終えた中で、正統性と宣教を強調した。
SBCのニュースメディア「バプテスト・プレス」(英語)によると、総会に出席した代表者の大多数が、刑罰代償的贖罪(しょくざい)説(penal substitutionary atonement)を再度承認することに賛成票を投じた。同説は、罪人が受けるべき神の罰をキリストがその死において身代わりに負ったとするもので、決議案には「(代償的贖罪は)福音の燃える核心であり、堕落した人類の唯一の希望である」と記されている。
決議案は、中西部バプテスト神学校のオーウェン・ストラチャン教授と南東バプテスト神学校のマルコム・ヤーネル教授の2人が提案したもので、圧倒的多数で可決された。
ストラチャン氏は、総会で共に採択された大学の奉仕に関する決議案も、他の執筆者らと共同執筆している。自身のフェイスブックでは、「元気づけられ」「SBCには感謝している」と述べている。
SBC倫理宗教自由委員会の委員長でSBCの方針担当者であるラッセル・ムーア氏も、刑罰代償的贖罪説に関する決議案は「とてもうまい言い回しがされていた」と評価した。
「ローマ人への手紙が教えているように、神は義であり、キリストの贖罪的犠牲によって、神がイエスを信じる者を義とお認めになると私たちが信じていること」を、この総会で強調するのは適切なことだったと、ムーア氏は記者団に語った。
ムーア氏は13日夜、総会に代理人の報告書を送った。同氏は昨年、当時、大統領候補だったドナルド・トランプ氏に対する自身の率直な反対表明により、SBC内で議論を巻き起こした。同氏の姿勢は一部のSBC会員と対立したが、SBCの少数民族会員の多くの間では人気があった。
SBCは米国最大の福音的なプロテスタント教団だが、ここ数年で何十万人もの会員を失っている。受洗者数も減少しており、その原因について教団内で多くの議論が行われている
バプテスト・プレスによると、この衰退を覆す意思表示としてSBCは、「大学生の弟子訓練のための祈りと投資、および学生伝道団体と地域教会の関係強化」を促進する決議案を承認した。
SBCは最も伝道的な教団の1つとして歴史的に知られており、罪を悔い改め、イエスを個人的な主、また救い主として信頼することを人々に勧めている。
自らを「伝統的バプテスト」と称する人たちは、SBCの教勢低迷の要因として、会員の少子化、文化の世俗化、教団指導者の欠如があるとクリスチャンポストに語った。
SBCのスティーブ・ゲインズ議長は13日、代表者らにこう語った。「私たちは、SBCの受洗者数が再び減っていることを知っています。それは分かっています。しかし私は今、皆さんを喚起します。私たちには希望があります」。
「SBCには希望があります」とゲインス氏は強調。「米国には希望があります。失われた世界には希望があります。なぜなら、血に染まった十字架があり、空になった墓があり、王座には神が座しておられるからです」と語った。また、「クリスチャンは誰もが奉仕者」だと述べ、数千人の出席者に対し、魂を勝ち取る者となるよう呼び掛けた。
13日はこの他、SBCの会員や他のクリスチャンが「ギャンブルの罪」に加わることを拒否し、牧師や教団指導者らにこの問題について説教するよう呼び掛け、各レベルの政府に州営ギャンブルを停止するよう求める決議案や、今年が宗教改革500周年であることから、万人の宗教的自由を擁護する一方、プロテスタント独自の信念に立ち返るよう促すものなど、計9つの決議案を可決した。
また14日には、教勢を立て直すため、個人伝道と伝道的説教を研究する専門チームの発足を発表。大学教授や牧師、各州の指導者らかなるチームが、1年かけて調査研究を行い、来年の年次総会で報告することになる。