ディボーション雑誌「アパ・ルーム」の日本語版が2017年7・8月号をもって創刊400号を迎えた。日本語版の創刊は戦後間もない1949年。隔月発行なので、年6号ずつ67年にわたって刊行し続けてきたことになる。
また、381号から現在の電子版「eアパ・ルーム」も配信され、定期購読すると、PDFデータがメールで送られてくる。紙版(冊子)は表紙以外、モノクロ印刷だが、電子版は聖句や「今日の黙想」の箇所などが色付きになり、見やすくなった(公式ホームページで今日のページを見ることができる)。さらに、左横の「しおり」タブから、その日のページを開くことができる。紙版は文庫本サイズ(少し縦長の変形)で携帯しやすいが、電子版はパソコンやタブレット、スマホと、画面に合わせて大きさも変えられる。
「アパ・ルーム」が誕生したのは、1929年の世界恐慌後のこと。米国南部、テキサス州にあるメソジスト教会の日曜学校教師フランシス・クレイグが、短いディボーションのための読み物によって人々が慰めを受けていることに気付き、牧師にディボーション用の文章を書くよう頼んだことに始まる。やがて彼女はメソジスト内国伝道局内のディボーション雑誌プロジェクトで働き、35年、ついに「アパ・ルーム」が創刊されると、その10万部はすぐに売り切れ、2号は16万部、3号は21万部、そして7号では50万部、さらに4年後には100万部と、メソジストだけでなく、教派を超えて広く用いられるようになった。多くのクリスチャンホームのキッチンとベッドサイドテーブルにはいつもこの「アパ・ルーム」が置かれているという。
そして、38年には初めての外国語版としてスペイン語版が出され、49年の日本語版など、現在では33カ国語、100カ国で約300万部と、世界中に愛読者のいるディボーション雑誌、聖書日課として知られている。
ちなみに、「アパ・ルーム」(The Upper Room)という誌名は、キリストの昇天を見届けた使徒たちがエルサレムに戻り、ペンテコステに向けて祈り合っていた「上の部屋」(使徒1:13)のこと。
「ディボーション」とは、クリスチャンの個人礼拝、「静思の時」のことをいう。それぞれ毎日、聖書を開き、神の前に静まって祈りの時を持つが、「アパ・ルーム」はその日読む聖書箇所や祈りをガイドするための定期刊行物だ。
ところで、日本では次のようなディボーション雑誌がある。
「アパ・ルーム」(アパ・ルーム日本委員会)320円
「みことばの光」(聖書同盟)350円
「クレイ」(ハーベスト・タイム・ミニストリーズ)300円
「幸いな人」(小牧者出版)659円
「日々のみことば」(日々のみことば出版委員会)430円
「毎日のミサ」(カトリック中央協議会)451円
「マナ」(いのちのことば社)566円
「リビングライフ」(ツラノ書院)650円
また、毎年刊行される『日々の聖句―ローズンゲン』(ベテスダ奉仕女母の家、1296円)や、カウマン夫人『荒野の泉』(日本ホーリネス教団)など1人の著者による聖書日課も多数ある。そのような中でこの「アパ・ルーム」にはどのような特徴があるのだろうか。
まず、文庫本サイズの1ページで1日分なので、負担にならないこと。例えば今日6月22日(木)は詩編1編の有名な箇所から。「神に逆らう者の計らいに従って歩まず・・・その人は流れのほとりに植えられた木。ときが巡り来れば実を結び、葉もしおれることがない。その人のすることはすべて、繁栄をもたらす」(1、3節)。何より聖句が短い。
それに続くのは、信徒中心の寄稿者による短い黙想や証し。時間をかけて聖書を解釈していく聖書研究的なものや、深い霊想を味わうタイプのものとは一線を画している。
証しをつづっているのは世界各国の老若男女、主婦や高校生、医者やビジネスパーソンとさまざまだ。今日はこの詩編からメキシコの女性が、乾期と雨期の花々のことを伝えつつ、「聖書と祈りに深く根を下ろしている時、私たちの信仰は強められます。乾いた時期の後に、やがて神のあふれる豊かさの季節が続くという希望に、私たちは安らいでいられます」と、その信仰をシェアしてくれる。それを読んで、日本に住むクリスチャンも励まされるという内容だ。
もちろん日本人も寄稿でき、掲載時には25ドルが支払われる。毎年、世界各地の約3千人から原稿が送られてきて、その中から選ばれた証しを日記のように毎日読むことができるのだ。
黙想文の送り先は次のとおり。
〒157-0066 東京都世田谷区成城2−6−14
アパ・ルーム日本委員会 臼田尚樹(うすだ・なおき)
TEL:03-3749-7539
FAX:03-6677-8154
Eメール:[email protected]
詳しくはホームページで
最後に、「アパ・ルーム」編集長で日本福音基督教団成城キリスト教会牧師の臼田尚樹氏に話を聞いた。
「アパ・ルーム」はアメリカにおけるディボーションのリバイバルによって、「超教派、超国家、超民族」を標榜するまで拡大しました。そして、世界中の信徒による黙想文(証し)が寄稿されます。
米国ナッシュビルにある「アパ・ルーム」編集本部では2カ月に1回、黙想文セレクト委員会が持たれます。2時間ほどの委員会ですが、120の黙想文から25の黙想文を選びます。1人のメンバーが、30〜35ほどの黙想文から5つを推薦し(keep)、5つを外します(reject)。さらに次回の黙想文セレクト委員会で実際に載せる黙想文を絞り込んでいきます。私も時々スカイプで委員会に出席します。最終的に「アパ・ルーム」に記載される黙想文の証しの内容は、御言葉とのバランスも含めて、大変厳選されています。
各黙想文は、寄稿者が体験した証しの中にシンプルな真理が示されているため、改めて大切なことに気付かされます。それは聖書研究とは違った方法で御言葉を教えられるのです。それが「アパ・ルーム」の魅力です。2カ月分の証しのトラクトとも言えます。教会に来ていない方々にもお勧めしやすい内容です。
これらの内容をすべて、スマホ、タブレット、パソコンで見ることができるのが電子版「eアパ・ルーム」です。それぞれの端末で、いつでも、どこでも、きれいな画面で読むことができ、拡大して見ることも可能です。サンプルを無料でお送りしています。ぜひ一度、電子版「eアパ・ルーム」を読んでみてください。サンプルのお申し込みはホームページからお願いします。