指名手配犯をかくまったとして、フィリピン独立教会のカルロス・モラレス司教が逮捕されたことを受け、アジアキリスト教協議会(CCA)は15日、「不法な逮捕」だとし、非難する声明(英語)を発表した。
モラレス司教は11日、フィリピン南部の都市オザミスのガンゴ村にある検問所で、妻、運転手、同行者1人と共に逮捕された。警察は、同行者がフィリピンの民族民主戦線(NDF)のメンバーであるとし、司教らを「最重要指名手配犯をかくまっていた」として逮捕・勾留した。
CCAは、アジア最大のエキュメニカル組織で、総幹事のマシューズ・ジョージ・チュナカラ博士は声明で、「CCAは、モラレス司教のような宗教的で霊的な指導者の不法な逮捕と勾留に驚き、これを人権侵害と見なします」とコメント。モラレス司教らの即時釈放を求めた。「モラレス司教がこのようなひどい扱いをされているのは残念です。司教だと名乗ったにもかかわらず、モラレス司教は不法に逮捕され、手錠をかけられ、市警の混雑した拘置所に勾留されたのです」
フィリピン独立教会パガディアン教区のアントニオ・アブロン司教も、今回の逮捕と勾留を非難しつつ、モラレス司教に対する警察の告発は根拠がないと述べた。アブロン司教は、モラレス司教には宗教的な指導者として、政治的に迫害され苦悩している人々に対し、保護や安らげる場を提供する義務があると述べた。
フィリピン独立教会の教会員たちは警察署の外で抗議活動を展開し、モラレス司教らの釈放を求めている。
フィリピン独立教会は、ローマ教皇座との一致にない「独立カトリック教会」の1つ。スペインの植民地支配からの独立の機運が高かった1902年に設立され、初代大司教のグレゴリオ・アグリパイにちなみ、「アグリパヤン教会」とも呼ばれている。現在はCCA、世界教会協議会(WCC)に加盟しており、教会員数は800〜1千万人とされている。