今年11月に日本の殉教者188人が列福されるのを記念して、福者188人のうち、52人を出した京都市では、地元の信徒や市民有志らが協力して、「京都の大殉教」(1619年)を題材とした劇「炎の十字架」を今月21日に上演する。この大殉教では2歳の幼児を含む子ども11人も命を落とした。劇では、家族7人が死を遂げた橋本ジョアン、テクラ夫妻を中心に描く。
上演を呼びかけたのは、日本最初の殉教者、二十六聖人ゆかりの地である南蛮寺跡にあるキリスト教文化資料館「フランシスコの家」の館長、ルカ・ホルスティンク神父。今年2月に聖劇公演実行委員会を立ち上げ、上演に向けた準備を開始した。4月からは本読みを始め、毎週2回、京都市中京区にあるカトリック西院教会で練習を行っている。大人から小中高生ら子どもまでの約40人が出演する。
ホルスティンク神父は地元の京都新聞に対して、劇上演にあたって「神への信仰の強さ、信念があることの大切さを伝えたい」と話す。脚本・演出を手がけた西田明子さんは、「ヒーロー、ヒロインものではなく、人間の悩みや苦しみを表現したい」(同紙)と語った。
京都の大殉教は、「長崎の大殉教」(1622年)、「江戸の大殉教」(1623年)とともに日本の三大殉教として数えられている。長崎、江戸の大殉教では殉教者に海外から来た司祭や修道士が含まれ、長崎では55人が、江戸では50人が斬首・火あぶりによって殉教した。一方、京都では殉教者に海外宣教師は含まれず、信徒52人が殉教。今年11月24日に長崎市で行われる列福式で、52人全員が列福される。
劇は、キリシタン研究家で日本二十六聖人記念館・初代館長の結城了悟氏がまとめた冊子「京都の大殉教」をもとに、西田さんが全15場面で仕上げた。上演は7月21日午後2時から、京都市下京区花屋町通烏丸西入ルの大谷ホールで。上演時間は約2時間、入場無料(自由献金)だが、整理券.が必要。問い合わせは、「フランシスコの家」(電話:075・822・2369)まで。