キリストの復活を祝う「イースター」。米国では、ホワイトハウスでエッグハント(野原に卵を隠して、それを探すゲーム)が行われるなど、この時期、キリスト教圏では国をあげてお祝いムードに包まれる。一方、日本では認知度も低く、「イースター」はキリスト教会のみにとどまっていた。
しかし、近年、テーマパークでのパレードをはじめ、食品メーカーなどが「イースター」に注目し、さまざまなキャンペーンを展開するようになった。
流通業界大手イオンリテール株式会社は今年、「レッツ スタート イースターパーティー」をテーマに、イースター商戦に本格参入することを決定。3月17日からイースター当日となる4月16日までプロモーションを展開する。
それに先駆け、イオンモール幕張新都心で3日、「イオン『イースター』パーティー発表会」として、記者発表および店頭取材会が行われた。
開会のあいさつをしたのはイオンリテール株式会社経営企画本部の栢野博子広報本部長。
「イースターの認知度は、およそ8割。市場としてはいまだ10億円に満たないと言われる小さなものだが、年々規模は大きくなってきている。10月のハロウィンはすでにバレンタインを超える規模に成長している。イオンでは、ハロウィンと同様、イースター市場も今後、ますます拡大していくと判断し、市場を盛り上げるため、今年、イオングループをあげてイースター商戦に注力していく」
本サイトのインタビューに対して、イオン広報部は次のように答えた。
「日本人にとって、春はスタートの季節。進入学に花を添える意味で、華やかな『イースター』にビジネスチャンスを見いだした。宗教的な意味合いは大きくは含んでいない。友人、家族などで囲む食卓に華やかなイオンのイースター商品をご利用いただければ」
「イースターは宗教的なイメージが強いのでは?」と質問すると、「日本にはクリスマスが前例としてある。同じイメージ。今年から本格的な展開なので、今後はお客さまの反応をうかがいながらやっていきたいと思う」と答えた。
イオンでは、うさぎの形をした「白いオムライス」や「たまごコロッケ」などをイースターの期間限定で販売。また、店内では、「エッグハント」と題して、モール内にある卵を探してヒントを集め、答えの場所に行くと景品がもらえるといった企画も。
こうした商業的なイースターを、現役のキリスト教会の牧師はどのように見ているのだろうか。成田純福音教会の妹尾光樹(せのお・みつき)牧師に話を聞いた。
最近、商業施設でもイースターを見かけますが、どう思いますか。
一般の場所でイースターのデコレーションを徐々に見かけるようになったのは良いことだと思います。「キリストの復活を祝う」としているお店もあるので、そういう看板なりサインを見ると、うれしいですね。
今までなぜイースターは日本に根付かなかったのでしょうか。
「誕生」と「よみがえり」は、似ているようで違います。「誕生」が喜ばしいのは、どんな人でも分かりますが、イエスさまが私たちの罪のために十字架にかかり、よみがえられたということは、信仰がないと理解できないのでしょう。
それに、クリスマスと違って、イースターは毎年、日にちが違います。ビジネスの面から考えると、きっと取り組みにくいと思いますが、イオンなどが全国展開に踏み切ったのは大きいですね。
日本人が「キリスト教主義」を受け入れるのには案外、時間はかからないと思います。日本の大学の多くがキリスト教主義学校であることに対して大きなアレルギーはないでしょう。ですから、イースターも今後、商業的な盛り上がりとともに受け入れられていくのだと思います。しかし、「キリストを受け入れる」のには時間がかかるかもしれません。
商業的な盛り上がりを受けて、教会がすべきことは?
それを否定したり嫌ったりする必要はないでしょう。クリスマスの盛り上がりの中で、教会では聖書に基づいたさまざまな儀式や礼拝が持たれていますね。実際、「クリスマスだから教会に行ってみようかな」と思う人も、世の中の動きでクリスマスを知ったわけです。イースターもそういった存在になれば、伝道のチャンスは広がると思っていいでしょう。キリスト教が社会に宗教的な影響を及ぼすには、まだまだ数が足りません。1千万人近くの救霊が必要なのでは。リバイバルが待ち遠しいですね。