タイ政府が、首都バンコクにいる男性の難民申請者全員の仮放免を取り消し、直ちに超満員の収容所に強制的に収容する計画を立てている。対象者にはキリスト教徒も多く含まれており、推定で1万1500人のパキスタン人キリスト教徒が収容される可能性があるという。キリスト教迫害監視団体「ワールド・ウォッチ・モニター」(WWM、英語)が、複数の情報筋の話として伝えた。
WWMによると、女性や子どもたち、またすでに難民認定されている人は対象にならず、深刻な病状の人も免除対象となるという。
タイ政府は昨年、パキスタンのイスラム過激派を逃れてきたキリスト教徒の難民申請者に対する取り扱いや、彼らに対する迫害のために、国際的な批判を受けていた。これらの難民申請者は、国連からはすでに難民として登録されているが、その多くは必要な手続きがなされ、タイに再定住できる可能性をほとんど見いだせないでいる。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)を通じてタイで再定住するためには、5年余りの月日を要することが昨年、報告されていた。以前は、たったの1年で済んでいたという。
難民申請者らの仮放免取り消しは、すでに結核や肺炎、疥癬(かいせん、ダニによる感染症)などが蔓延(まんえん)しているバンコクの収容所にさらに多くの人が送り込まれることで、まひ状態に陥る可能性がある。
タイ政府によるこうした動きについて、一部の人々は、難民申請者らを強制的にパキスタンに戻るようにさせる企てだと見ている。タイにいる一部のパキスタン人キリスト教徒らは昨年、UNHCRが彼らの窮状に対して冷淡で、故意に彼らの再定住の申請を遅らせていると訴えていた。