感動的なお話を紹介します。
米国のシカゴにある教会の日曜学校に男の子が突然やってきました。みずぼらしい洋服、緊張した態度。そして周囲の人に対する敵対心がもろに出ているこの少年を、みんなは無関心に見て見ぬふりをしていました。
しかし、そんな中でたった1人の人が動きました。日曜学校の先生だったその人は、男の子に近づき、男の子の頬を撫でてあげ、背中をさすってあげて、優しい言葉で彼を包み込みました。「よく教会に来てくれたね。本当によく来たね」
それから、この男の子は教会によく来るようになり、そして教会に入ってくると、すぐにその先生の所に行きました。先生は、男の子に愛を注ぎ、優しさを注ぎ、いつも励ましてくれました。
実はこの男の子は、非常に心の傷ついた少年でした。お父さんはアルコール依存症で、お酒を飲んで暴れて家のものを壊し、お母さんやその子に暴力を振るっていたのです。男の子は学校へ行くこともできずに、街中をさまよいながら犯罪を重ねて生きていくしかなかったのです。
その彼を、1人の人間、愛されるべき人間として扱って、接してくれる人は、あの日曜学校の先生だけでした。でも、この男の子は、この先生の愛によって励まされ、慰められ、心に愛を受けることができ、変えられていったのです。
やがて、この男の子は米国を代表する、いや世界中に知れ渡る偉大な人物となるのでした。これは、『100人の聖書』61~63ページからの抜粋です。そしてちょっと書き方を換えていますが、ドワイト・ムーディーという世界を代表する牧師、聖書の教師の幼い頃の話です。
去年、ある映画を見てきました。ちなみに「百人一読」は、映画ネタを多く使っていますが、それは知る人ぞ知る、理由があります。たぶん、以前コラムの中で説明したと思いますので、理由を知りたい方は読み直してみてください。
本題に戻りますが、その映画では、お互いがすれ違いながらも、女子高生2人が、それぞれお互いのことを思い続け、最後はもう1度友情関係を回復させるという、ものすごく良いストーリーでした。(累計100万部突破ベストセラー小説が同名映画となった作品で、本田翼さん、山本美月さんが主演です)
この映画の中で、多くの人間関係が描かれています。しかし、それらの関係はもろくも消え去っていきます。最後まで残った関係、それは「自分が死んでもいい。でも、〇〇だけは助けたい」という偽りのない、2人の女子高生の友情、そして確かな愛の関係でした。
皆さん。最後に勝つ、最後まで残るのは愛です。どんな関係でも、本当に愛がなければ、いつか終わります。どんな深い関係があっても、そこに本当の愛がないなら、良い時はその関係は成立しても、あなたが悪い状況、大変な状況に置かれたら、その関係はもろくも消え去るのではないでしょうか。
力や美しさ、お金や偉大な功績ではなく、偽りのない愛が本当に最後まで残ります。あのぼろぼろの男の子が、日曜学校の先生の愛によって助け出され、生き方が変えられ、世界を代表するムーディーとなったように、あなたの愛を待っている人がいるかもしれません。
今日から、愛を誰かに注いであげる生き方をしてみませんか。誰かが、今も困っています。誰かが、今も病気と闘っています。誰かが、深い暗闇の中にいます。誰かが、独りぼっちで苦しんでいます。その人たちに、愛の手を差し伸べることができるのは、あなただと思います。
難しいことではなく、ほんのちょっとの言葉を掛けてあげること、手紙を書いて送ってあげること、食事に誘ってあげること、1回でも勇気を出してかばってあげること、これらのことのどれかが、あなたが愛の手を差し伸べる方法かもしれません。
よく分からないと言われる方は、「100人の聖書基金」のホームページを開いてみてください。今も病棟で病気と闘っている、今日もいじめと闘っている、寂しさの中にいる、そういう人たちを助けることができます。
今日から愛の生き方をしていきませんか。
*
【書籍紹介】
篠原元著『100人の聖書』
本書を推薦します!
「他の追随を許さない数と挿話」
――奥山実牧師(宣教師訓練センター[MTC]所長)
「牧師の説教などに引用できて便利」
――中野雄一郎牧師(マウント・オリーブ・ミニストリーズ)
「聖書に生きた偉人たちの画廊」
――峯野龍弘牧師(ウェスレアン・ホーリネス教団淀橋教会)
ご注文は、全国の書店・キリスト教書店、Amazon、または、イーグレープのホームページにて。
◇