米国福音同盟(NAE)は最近、理事会役員を対象に宗教の自由に対する意識調査(英語)を行い、福音派の指導者たちが、キリスト教徒ばかりでなく、イスラム教徒や他の宗教を信じる人々の宗教的自由も等しく保障されるべきだと考えていることを明らかにした。
NAEは米国内の約40の教団・教派が加盟する福音派の連合組織で、調査はNAEの理事会役員を対象に毎月行っているもの。役員はNAEに加盟する教団や宣教団体、福音主義の大学や出版社、諸教会の代表者らで、130人ほどになる。1月は、キリスト教徒以外に対する宗教的自由の保護について尋ね、回答者全員が、キリスト教徒に対するのと同様の宗教的自由を保障することを支持したという。
一方、AP通信とシカゴ大学の全国世論調査センター(NORC)が2015年に行った世論調査(英語)によると、米国民の大多数はさまざまな集団の宗教の自由を支持する一方、キリスト教徒に対する宗教の自由をより重要視する傾向があることが分かっている。キリスト教徒に対する宗教の自由が重要だと回答した人は82パーセントに上ったが、他の宗教に対する宗教の自由になると、重要だと考える人は少なくなり、ユダヤ教徒に対しては72パーセント、モルモン教徒に対しては67パーセント、イスラム教徒に対しては61パーセントだった。
NAEはこの調査と、1月に行った月例調査を比較。多くの福音派指導者たちが、非キリスト教徒に対しても、キリスト教徒と同じ宗教的自由を保障すべきだと考えていることを強調した。
NAEのリース・アンダーソン会長は、「福音派の指導者たちは、宗教的自由が全ての人々の基本的な人権であり、他の信仰の人々の宗教的自由を保護することは、彼ら自身の自由を保護することであると信じています」とコメント。「全ての人のための宗教的自由を支持することは、私たちが他の宗教を推薦することを意味するのではありません。私たちの政府が、宗教的信条を選び、実行する人々の能力を保護すべきであるということを、私たちが認識することなのです」と語った。
ビリー・グラハムなどを輩出しているホイートン大学(イリノイ州)のフィリップ・ライケン学長も、アンダーソン会長の意見に同意した。「どんな宗教でも、それを自由に実践すること、あるいは無宗教であることは、宗教的自由の基礎です。キリスト教徒が宗教的自由を擁護するとき、私たちはキリスト教徒のための特権を求めてはおらず、全ての人々のための基本的な人権を推進しているのです」と述べた。
ホサナ・ルーテル教会(ミネソタ州)の創立者であるウィリアム・ボーリン牧師は、「もし宗教的自由が他の宗教にまで拡張されないなら、それは単純に『キリスト教徒の自由』であり、全く自由ではない、狭く、排他的な自由なのです」と語った。
また、学生のリーダーシップ養成機関「ネックスリーダー」のスティーブ・ムーア会長は、「もし私たちが米国のあらゆる宗教に自由を認めないなら、どうして私たちはイスラム教の国々に対して、その国々の中にいるイエスに従う人々にも宗教の自由を認めるよう、求めることができるのでしょうか?」と述べた。