米国のプロテスタント福音派の指導者たちが、難民受け入れを一時停止させる大統領令の再考を求めて、ドナルド・トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領に書簡を送った。
書簡の署名者には、米国福音同盟(NAE)のリース・アンダーソン会長、米国ワールド・ビジョンのリチャード・スターンズ会長、全米ヒスパニック・キリスト教指導者会議(NHCLC)のサミュエル・ロドリゲス会長、ワールドリリーフのスコット・アーベイター会長らが名を連ねている。
この書簡(英語)は、米政治専門報道機関「ポリティコ」が入手。書簡には、「福音派のクリスチャンとして、私たちは特に難民たち、すなわち、迫害の脅威にさらされ、自国を逃れることを強いられた人々の苦境に心を向けるよう、聖書によって招かれています」などと書かれている。
また、「米国はここ数年、世界の難民の1パーセントというほんのわずかな人々を毎年受け入れていますが、私たちは、難民の再定住プログラムが、傷ついているこれらの人々にとっては生命線であり、私たち教会にとっては、隣人を愛し、全ての国の民を弟子とし、人々をもてなすよう命じる聖書の教えを行う、極めて重要な機会であると信じます」としている。
書簡は、難民の入国審査の重要性を認めつつも、米国の審査過程はすでに非常に徹底しているとし、「私たちの国は、同情的であり、かつ安全であるということを、両立し続けることができるのです」と主張。難民のために教会が行っている広範囲にわたる働きに言及し、「私たちは、これらの決定を再考し、私たちの教会とさまざまな働きが、私たちの信仰を実践し続けられるよう、難民の再定住を直ちに再開することを許可するよう求めます」としている。
さらに、難民のために教会が行っている広範囲にわたる働きに言及し、「私たちは、これらの決定を再考し、私たちの教会とさまざまな働きが、私たちの信仰を実践し続けられるよう、難民の再定住を直ちに再開することを許可するよう求めます」としている。
一方、NAE系列の人道支援団体であるワールドリリーフは、難民の受け入れを120日間停止する大統領令に対する非難声明(英語)を単独で発表している。会長のアーベイター氏は声明で、「この禁令によって生じる(難民受け入れの)長期的な遅れは、大部分が女性と子どもで構成される難民をさらに傷つけ、家族を引き離すことになります。私たち米国民はテロを終わらせようとして戦っているにもかかわらず、そのテロから逃れようとしている人々を罰することになるのです」と強調した。
声明はまた、「いかなる難民も国務省の許可なしには入国できず、国土安全保障省や他の米国の機関によって最善の注意を払って入念に審査されないままで入国することはありません。これらの審査過程は、しばしば18〜24カ月に及び、生体認証検査や多数の面接、他の安全策を含んでいます」とし、難民のこれまでの再定住プログラムが十分厳格なものであることを指摘した。
アーベイター氏は、「私たちは難民を支持します。この働きのために私たちに協力してくださっている全米の教会と地域社会の何千人もの米国民が、私たちを支持しています。私たちは、自分たちの先祖たちの多くが、彼らの時代の迫害を逃れるためにこの国に来たことを思い出しつつ、それを行うのです。世界が最も大きな人道的危機に直面する時代にあって、私たちは行動することに遅れることはできないことを知っています。あまりにも多くの人々が危機にさらされているのです」と付け加えた。
一方、NAEやワールド・ビジョンなどが加盟する福音派の世界組織である世界福音同盟(WEA)は、トランプ氏を名指してはいないものの、「最近の出来事」に言及して、暗にトランプ氏を叱責する声明(英語)を発表した。「難民受け入れへの呼び掛け」と題した声明で、WEAは世界中のクリスチャンに対して「積極的に難民を愛し、迎え入れる」ように訴え、「強制移住に関する聖書的理解を深め、難民を受け入れる余地を人々の心と思いの中にもたらすため、キリスト教の指導者や牧師が意識的に奉仕することを私たちは求めます」と呼び掛けた。