アフガニスタン出身の難民申請者の男(22)が、オーストリアの難民申請者用施設で聖書を朗読したキリスト教徒の女性(50)を刺す事件があった。
英デイリー・エクスプレス紙によると、刺された女性は夫と共に、オーストリア北部の町フェックラマルクトのティメルカンにある難民申請者用施設のキリスト教徒の難民申請者らから、聖書について話し合うために招かれていた。
女性は刺されたとき、厚手の冬物のコートを着用していたため、致命傷を受けずに済み、刺された勢いで後ろ向きに倒れた際に、耳を負傷しただけだったという。
事件については、オーストリアのクローネン・ツァイトゥング紙が最初に伝えた。同紙によると、事件は昨年12月28日午後、難民申請者用施設のキッチンで、女性がキリスト教徒の難民申請者らにちょうど聖書を朗読し始めたところで起こった。
ロシアのニュース専門局「ロシア・トゥデイ」(RT)によると、容疑者の男は逮捕され、ティメルカンから約35キロ離れた都市べルスの刑務所に連行された。米ニュースサイト「ブライトバート」によると、男は警察の取り調べ中に「さまざまな個人的問題」を挙げ、過剰反応した事実を認めたが、事件当時、男は明らかに聖書の朗読に憤慨していたという。
AP通信によると、オーストリア警察は昨年末、首都ウィーンで行われた大みそかの祝祭イベントで、参加者の女性たちに予防措置としてポケット警報器を配った。これは、2015年にドイツの都市ケルンで開催された同様のイベントで、多くの女性たちが強盗や痴漢の被害に遭ったことを受けてのものだ。
米ニュースサイト「デイリー・コーラー」によると、当時、ドイツ連邦刑事局(BKA)のホルガー・ミュンヒ局長はドイツのメディアに対して、「この事件の発生と、15年の急速な移住者の増加との間には関連があります」と述べていた。またミュンヒ局長は当時、犯罪の件数が多く、防犯カメラの映像が不鮮明であるため、「これらの犯罪の多くが決して十分に調査されないと考える必要があります」と語っていた。
オーストリア政府は現在、国籍に関して当局に虚偽の報告をした場合、最大で禁錮3週間の実刑と罰金を課す法案の成立を目指している。
英オンライン新聞「インデペンデント」によると、一部の人々は、この法案は、難民に国内に定住しようとすることを思いとどまらせるためのものだと理解している。シリア国籍者の難民申請を優先する欧州諸国の傾向に気付いた、アフガニスタン人を含む他の国籍保有者の中には、欧州で保護を受けることが有利になると考え、国籍を偽る者もいるという。
オーストリアは、15年に9万人の難民申請者を受け入れた。しかし、16年には、受け入れ上限を3万7500人に定めると発表し、17年の受け入れ数はさらに3万5千人に縮小させた。