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聖書のエピソードなどが色彩豊かに 「ティツィアーノとヴェネツィア派展」東京都美術館で開催中

2017年2月19日07時33分
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聖書のエピソードなどが色彩豊かに 「ティツィアーノとヴェネツィア派展」東京都美術館で開催中
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「フローラ」(1515年頃、油彩、カンヴァス、79×63cm、フィレンツェ、ウフィツィ美術館)© Gabinetto Fotografico del Polo Museale Regionali della Toscana

「ティツィアーノとヴェネツィア派展」が上野の東京都美術館・企画展示室(東京都台東区)で開催中だ。日本とイタリアの国交樹立150周年を記念して、ヴェネツィア・ルネサンスを代表する画家ティツィアーノ(1488 / 90~1576)の「フローラ」「ダナエ」(日本初公開)のほか、イタリアの名だたる美術館が所蔵する70点近い絵画や版画が展示されている。4月2日まで。

光あふれる水の都ヴェネツィアは15世紀から16世紀にかけて海洋交易で繁栄するとともに、フィレンツェ、ローマと並ぶルネサンス美術の黄金期を迎えた。この時期、ヴェネツィアを活動拠点とした芸術家たちは「ヴェネツィア派」と呼ばれ、レオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロを代表とする「フィレンツェ派」とはライバル的な関係にあったとされる。

今回の展覧会では、両派の表現方法や技法の違いに注目し、素描重視のフィレンツェ派に対して、色彩重視のヴェネツィア派という点を強調する。また、ヴェネツィア派が新たな油彩画の表現を生み出していったことも、同派の黄金期を語る上では欠かせない。海に囲まれたヴェネツィアは湿気が多いため、フィレンツェやローマのように壁に直接描くフレスコ画より、持ち運びが便利なカンヴァスに油彩で描く方が適していた。そのため、ヴェネツィアでは油彩画が発展し、その中で多くの才能が開花していったのだ。

聖書のエピソードなどが色彩豊かに 「ティツィアーノとヴェネツィア派展」東京都美術館で開催中
ジョヴァンニ・ベッリーニ「聖母子(フリッツォーニの聖母)」(1470年頃、テンペラ、板[カンヴァスに移し替え]、52・5×43・2cm、ヴェネツィア、コッレール美術館) © 2016 Photo Archive - Fondazione Musei Civici di Venezia

同展は、第1章「ヴェネツィア、もうひとつルネサンス」、第2章「ティツィアーノの時代」、第3章「ティツィアーノからティントレット、ヴェネローゼ― 巨匠たちの競合」で構成される。ヴェネツィア・ルネサンス初期、ティツィアーノの円熟期とヴェネツィア派の画家たちの時代、ティツィアーノ以降の巨匠たちの時代という流れに沿って、ヴェネツィア派の魅力が余すところなく紹介されている。

第1章は、何枚もの聖母子像から始まる。そこには、ティツィアーノが光の表現を学んだと言われるジョヴァンニ・ベッリーニの「聖母子(フリッツォーニの聖母)」も並ぶ。

第2章に入ると、ティツィアーノの初期の代表作で、イタリアの至宝とされる「フローラ」が柔らかい光に照らされて浮かび上がる。ローマ神話の花の女神フローラとされるが、実際は女神に扮した娼婦の肖像であったとささやかれるほど、その美しさは官能性に満ちている。

また、同じく神話を題材にした「ダナエ」では、オリンポスの主神ユピテル(ゼウス)が黄金の雨に姿を変えて王女ダナエと交わる官能的な場面が描かれており、自由闊達(かったつ)な筆遣いと豊かな色彩表現を楽しむことができる。その他、ティントレットの「レダと白鳥」、パルマ・イル・ヴェッキオの「ユディト」(旧約聖書続編「ユディト記」から)など、ヴェネツィア派の特徴である輝く色彩と大胆なタッチを持つ作品が紹介され、ヴェネツィア派の巨匠たちの豊かな才能を堪能できる。

聖書のエピソードなどが色彩豊かに 「ティツィアーノとヴェネツィア派展」東京都美術館で開催中
ティツィアーノ・ヴェチェッリオ「ダナエ」(1544〜46年頃、油彩、カンヴァス、120×172cm、ナポリ、カポディモンテ美術館)© Museo e Real Bosco di Capodimonte per concessione del Ministero dei beni e delle attivita culturali e del turismo

第3章では、2010年に来日したティツィアーノの「マグダラのマリア」を本展で再び見ることができるのも美術ファンにはうれしい。ティツィアーノはマグダラのマリアをモデルにした作品を幾つか残しているが、1567年に描かれた同作品は、かつてのバージョンと違い、マリアが着衣している。それは、当時の対抗宗教改革(カトリック教会内の改革刷新運動)の空気を反映したものと考えられている。当時のローマ教皇であるパウルス3世を実際にモデルにしたティツィアーノによる肖像画もあり、画家とカトリック教会の関係の深さがうかがわれる。

同展では、絵画だけでなく、アンドレア・スキアヴォーネを中心にしたヴェネツィア派の版画も展示されている。印刷技術はルネサンスの3大発明の1つであり、この点からも当時の版画は大変興味深い。

東京都美術館学芸員の小林明子さんは次のように語る。「本展ではティツィアーノの作品が7点出品され(うち2点はティツィアーノと工房による)、中でも初期の代表作『フローラ』と、日本初公開の『ダナエ』が最大の見どころ。いずれの作品もティツィアーノの彩色の技と、美しく魅力的な女性像を描く力量の発揮された作品となっている」

聖書のエピソードなどが色彩豊かに 「ティツィアーノとヴェネツィア派展」東京都美術館で開催中
ティツィアーノ・ヴェチェッリオの「マグダラのマリア」(左、1567年、油彩、カンヴァス、122×94cm、ナポリ、カポディモンテ美術館)と「教皇パウルス3世の肖像」(右、1543年、油彩、カンヴァス、113・7×88・8cm、ナポリ、カポディモンテ美術館)© Museo e Real Bosco di Capodimonte per concessione del Ministero dei beni e delle attivita culturali e del turismo

また、日本ではティツィアーノがあまり知られていないため、名前をタイトルに入れてクローズアップするとともに、その作品を軸に展覧会を構成することにより、彼の重要性と作品の魅力を紹介することを目指したという。「各章でティツィアーノの作品を見ながら、15世紀後半から16世紀にかけてのヴェネツィア・ルネサンス絵画の流れをたどることができる」と同展の特徴も強調した。

「ティツィアーノとヴェネツィア派展」は、4月2日(日)まで。開室時間は午前9時半から午後5時半、金曜日は午後8時まで。休室日は月曜日と3月21日(火)。ただし、3月20日(月・祝)と27日(月)は開室される。観覧料は、一般1600(1300)円、大学生・専門学生1300(1100)円、高校生800(600)円、65歳以上1000(800)円。( )内は20人以上の団体料金。中学生以下無料。3月15日(水)はシルバーデーにより65歳以上は無料。障がい者手帳所持者と介護者1人は無料。毎月第3土曜・翌日曜日は家族ふれあいの日により、18歳未満の子を同伴する保護者(都内在住、2人まで)は一般当日料金の半額。詳しくは、同展の特設ページを。

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