フィリピンの首都マニラのスラム街で暮らす数百人の子どもたちが14日、カトリック教会の伝道活動の一環である集団洗礼式で洗礼を受けた。
フィリピンの貧しい家庭は、洗礼式後に行われる祝会の食事を用意する余裕がないため、洗礼式に参加すること自体をためらってしまうという。そのため、カトリック系のNGO団体「TNK」(Tulay ng Kabataan、「子どもたちへの架け橋」の意味)がこの日、マニラ大聖堂で5回目となる集団洗礼式を行い、式の後には参加した家族全員に昼食を振る舞った。
マニラ大司教のルイス・アントニオ・タグレ枢機卿は、式を主催したカトリック教会の願いは、「神が与え給うさまざまな恵みを、貧困のために受けられないという印象を払拭(ふっしょく)することでした」と語った。
TNK広報部長のエリーズ・クルーズ氏は、フィリピンの英字紙「インクワイアラー」に次のように語った。「スラム街やマニラ首都圏の路地に住む人々は、危険や脅威にさらされているばかりか、聖体拝領を受けていない状態が長い間続いています」
「貧しい家庭の人々は、貧困のために聖体拝領を受けられないと思っています」「聖体拝領は無料であるにもかかわらず、有料だと思っている人が多いのです」と、クルーズ氏は付け加えた。
TNK代表で神父のマチュー・ドーシェ氏は、ノバタス地区、トンド地区、バセコ地区などのスラム街から来た子どもたちに洗礼を授ける手助けをした。
「傷ついた子どもたちを神の前に連れて行くのは非常に困難ですが、逆に典礼を通して主を彼らのところに連れて行くのはとてもたやすいのです」と、ドーシェ氏は語る。
人口が1億人を超えるフィリピンでは、国民の約8割がカトリック信徒である。