イエス・キリストの埋葬時に遺体を包んでいたとされている「トリノ聖骸布(The Shroud of Turin)」を2010年に一般公開すると、ローマ教皇ベネディクト16世が2日発表した。CNNが伝えた。
この布は、縦4.36メートル、横1.1メートルほどの杉綾織の亜麻布で、イタリア・トリノのヨハネ大聖堂に保管されているため、そう呼ばれている。2000年に行われた前回の一般公開では、100万人以上が来場した。
布の組織は1980年代、世界中の研究機関に配られ調査が行われたが、1988年に行われた放射性炭素年代測定による計測では、13〜14世紀に縫合されたものだという結論が出された。しかし、最近行われた修復作業時に布の後ろ側で新たな縫合跡が発見され、調査を進めた結果、縫合方法は当時のものであるとされている。
また、布は火災で焼けたため継ぎ足しされた部分があり、当時の分析に用いたサンプルと新たに提供されたサンプルとの比較分析では、バニリンと呼ばれる物質の分析調査から、以前の計測結果が修復部分のものである可能性が高いということもわかっている。
この布は、イエスが死んだとき、頭を真ん中にし、布を二つ折りにするかたちで遺体を包んだものだとされており、1898年に初めて布を写真撮影したセコンド・ピア氏のネガから布に刷り込まれた男性の姿が発見され、それがイエス・キリストの姿だと言われている。聖骸布の存在については、古くから伝えられており、西暦33年にはすでにエルサレムで確認されていたと言われている。