世界の映画人たちに尊敬され、アカデミー賞にも輝いた巨匠マーティン・スコセッシ監督が、世界20カ国以上で翻訳され、今も読み継がれている戦後日本文学の金字塔、遠藤周作の小説『沈黙』をついに完全映像化した映画「沈黙-サイレンス-(原題:Silence)」の日本版ポスターが完成。14日、「信じる道を貫く。目の前の命を救う。どちらを選べば良いのか」と観客に問い掛ける特報映像とともに解禁となった。
なぜ、弱きわれらが苦しむのか――。日本オリジナルとなるビジュアルは、舞台となる長崎の荒れた海を背景に、激しい波が打ち寄せる長崎にたどり着いた2人の宣教師ロドリゴ(アンドリュー・ガーフィールド)とガルペ(アダム・ドライバー)の姿をとらえている。棄教したとされる師フェレイラ(リーアム・ニーソン)を探すため、固い信念を胸に長崎へと潜入した瞬間だ。重い雲に覆われた空は、2人を待ち受けている幕府の激しいキリシタン弾圧を彷彿(ほうふつ)とさせるが、雲の切れ目から差し込む一条の日の光は何を意味するのだろうか。
ポスターの上部には、宣教師たちを導くキチジローを演じた窪塚洋介、通辞役の浅野忠信、激しい弾圧を行う井上筑後守(イッセー尾形)、敬虔な信者モキチ(塚本晋也)、イチゾウ(笈田ヨシ)、長崎奉行に捕らわれたキリシタンの村人を演じる加瀬亮、小松菜奈ら、日本人主要キャストの写真が並ぶ。他にも、PANTA、片桐はいり、伊佐山ひろ子、藤原季節、菅田俊、青木崇高、SABU、渡辺哲、AKIRA(EXILE)、中村嘉葎雄など31人の日本人キャストも出演していることが今月明らかにされている。
小説『沈黙』刊行から50年、遠藤周作没後20年、スコセッシ監督が原作と出会ってから28年目の今年、幾つもの困難を乗り越えて実現した一大プロジェクトの本作品。ハリウッドと日本の各世代の実力派俳優が名を連ねているだけでなく、全員でアカデミー賞ノミネート23回、アカデミー賞受賞6回を果たしているスコセッシ監督の最高のチームに、時代考証と美術スタッフとして日本人が加わっており、忠実に再現された江戸初期の長崎も必見だ。
■ ストーリー
17世紀、江戸初期。幕府による激しいキリシタン弾圧下の長崎。日本で捕らえられ棄教したとされる高名な宣教師フェレイラを追い、弟子のロドリゴとガルペは日本人キチジローの手引きでマカオから長崎へと潜入する。日本にたどりついた彼らは、想像を絶する光景に驚愕(きょうがく)しつつも、その中で弾圧を逃れた"隠れキリシタン"と呼ばれる日本人らと出会う。それも束の間、幕府の取り締まりは厳しさを増し、キチジローの裏切りにより、ついにロドリゴらもとらわれの身に。かたくななロドリゴに対し、長崎奉行の井上筑後守は「お前のせいでキリシタンどもが苦しむのだ」と棄教を迫る。次々と犠牲になる人々。守るべきは大いなる信念か、目の前の弱々しい命か。心に迷いが生じたことで分かった、強いと疑わなかった自分自身の弱さ。追い詰められた彼の決断とは――。
人間の強さ、弱さとは? 信じることとは? そして、生きることの意味とは? 貧困や格差、異文化の衝突など、この混迷を極める現代において、人類の永遠のテーマをあまりに深く、あまりに尊く描いたスコセッシ監督の最高傑作が、いよいよ日本に上陸する。映画「沈黙-サイレンス-」は、2017年1月21日(土)から全国で公開される。
■ 映画「沈黙-サイレンス-」特報