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指導がないことによって民は倒れ 穂森幸一(64)

2016年12月2日20時56分 コラムニスト : 穂森幸一
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関連タグ:穂森幸一

「指導がないことによって民は倒れ、多くの助言者によって救いを得る」(箴言11:14)

私は小学生の時、図書館にこもるのが好きだったので、本を通して示される米国の歴史や社会に興味を持ちました。中学校に入り、英語を習い始めると、その思いはさらに強くなりました。

初めて米国を訪問したときは、時差の観念がなく、予定よりも1日早く着いてしまい、周りの人たちに迷惑をかけてしまいました。

米国で出会った1人の牧師の言葉がとても印象に残りました。「米国の社会は、教会の内と外では全く別次元のもの」というのです。確かに教会の中では、ほとんどの人が優しく、親切に接してくださいました。

私のお世話になっていたホームステイの家から教会まで歩いて15分ほどの距離だったため、歩いて教会に通っていました。若者が4、5人乗っている乗用車が近づいてきたと思ったら、車の窓を開けて「メキシコ人」と叫びながら、水をかけてきました。そのことを教会で話すと、どこに行くにも教会の人々が交代で送迎してくださるようになり、歩くことはなくなりました。

ある時、教会の婦人部の会合で、夫と妻の関係について話し合っていました。私はその時は米国の現実を知らなかったため、「米国はレディファーストの国だからいいですね」と発言しました。そうすると、婦人たちの間で一斉に反論が起きました。

「何を根拠にそういうことを言うか」ということでした。「私が今まで映画やテレビの世界で見ていたのは、レディファーストの社会でした」と答えると、「それは見せかけだけの虚構の世界です」と言われました。

人が見ていると、ドアを開けてくれ、上着を着せてくれるけれども、誰も見ていないと何もしてくれないというのです。日本では男性上位などと言われるが、むしろ日本の男性のほうがよくやっているかもという意見まであり、驚きました。

自由と平等を目指す国、アメリカンドリームの国などと書籍や映画の中で学んでいても、現実には差別があり、目には見えない壁が存在していることを知りました。

今度の米国の大統領選はネガティブキャンペーンが繰り返され、米国の国民だけでなく、世界の人々が傷ついたともいわれます。ある候補の暴言は、白人中間層の本音を代弁しているともいわれます。

米国の紙幣には「神を信じます」という言葉が印刷されているのに、現政権下では公共の場や軍隊でのキリスト教の祈りの禁止、宗教教育の禁止、人口中絶の容認などが進められています。全米の80パーセント以上の教会が我慢の限界を超えたともいわれます。

どんな状況であれ、暴言によって他者を傷つけてはいけないし、他宗教や文化、習慣への寛容性を学ぶことはとても大切です。教会は、決して社会の状況や政治情勢に対して無関心であってはならないと思います。政治指導者のために祈り、育てていく環境づくりも必要だと思います。

カリフォルニア州に住んでいた1人の婦人は、いつも大統領のために祈り、問題を感じたら、手紙を送っていました。大統領に手紙を送り続ける婦人として、地元の新聞でも取り上げられましたが、大統領もその手紙を読んでいたといわれます。

「そこで、まず初めに、このことを勧めます。すべての人のために、また王とすべての高い地位にある人たちのために願い、祈り、とりなし、感謝がささげられるようにしなさい。それは、私たちが敬虔に、また、威厳をもって、平安で静かな一生を過ごすためです」(Ⅰテモテ2:1、2)

カリフォルニア州で著しい成長を遂げているといわれるある教会を訪問したことがあります。そこの教会が第1の目標に掲げていたのが「海外宣教」でした。自分たちの教会堂の補修工事よりも、海外宣教に献金を送ろうという姿勢をとったときに、教会が大きな祝福を受けたということでした。また、祈祷会では、必ず政治指導者のために祈ることを実践しているそうです。

世界情勢が混沌(こんとん)とし、不透明になり、政治家のリーダーシップが問われている今だからこそ、祈ることが切実に求められています。

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◇

穂森幸一

穂森幸一

(ほもり・こういち)

1973年、大阪聖書学院卒業。75年から96年まで鹿児島キリストの教会牧師。88年から鹿児島県内のホテル、結婚式場でチャペル結婚式の司式に従事する。2007年、株式会社カナルファを設立。09年には鹿児島県知事より、「花と音楽に包まれて故人を送り出すキリスト教葬儀の企画、施工」というテーマにより経営革新計画の承認を受ける。著書に『備えてくださる神さま』(1975年、いのちのことば社)、『よりよい夫婦関係を築くために―聖書に学ぶ結婚カウンセリング』(2002年、イーグレープ)。

株式会社カナルファホームページ
穂森幸一牧師のFacebook

※ 本コラムの内容はコラムニストによる見解であり、本紙の見解を代表するものではありません。
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