米国のトランプ氏が選挙運動中に「米国は日本を守っているのに、米国が攻撃されても日本は何もしてくれない。これは不公平だ。日本は米国の駐留費を全額負担せよ。そうでなければ、撤退もあり得る」と発言して大変物議を醸しました。
世界各地に米軍が駐留していますが、駐留軍の規模が大きいのは、ドイツ、日本、イタリアだといわれます。第2次世界大戦の敗戦国に大規模の米軍が駐留しているという事実は、その国を守り、防衛するために駐留しているのではなく、むしろ監視し、コントロールするためだったと理解してもおかしくないと思います。しかし、東西冷戦のために共産主義と対峙しなければならなくなったとき、事情が変わってきます。
最初に駐留するときの契約では、日本に負担をかけず経費は100パーセント米国が負担するという条件だったそうですが、ベトナム戦争で米国の出費が膨大であったため、駐留国も負担してほしいと要請があり、条件が変わったといわれます。
日本は思いやり予算という言葉を使って費用を負担するようになりましたが、今では全体の経費の75パーセントを負担しているといわれています。全額負担するといってもあと2500億円か3千億円だといわれます。日本の防衛予算が5兆円といわれていますので、決して全額負担は不可能な数字ではないといわれます。
もし日本が全額負担するのであれば、駐留軍ではなく、日本の傭兵ということになります。米軍基地の治外法権としての特権も地位協定も見直しということになるかもしれません。そうなれば、日本政府が基地の移転や統合もできるようになります。
しかし、米軍が駐留していたおかげで日本の軍事化が抑制され、平和が保証され、経済が発展してきたという事実を見るなら、「使徒の働き」の中で弁護士テルトロがローマ帝国の総督に感謝の言葉を述べたように、私たちも感謝の気持ちを持つべきなのかもしれません。
「ぺリクス閣下。閣下のおかげで、私たちはすばらしい平和を与えられ、また、閣下のご配慮で、この国の改革が進行しておりますが、その事実をあらゆる面において、また至る所で認めて、私たちは心から感謝しております」(使徒24:2、3)
イスラエルは、面積は四国と同じほどの面積ですが、周囲を敵対する勢力に囲まれているので、防衛のために大きな負担を負っています。しかし、イスラエルの軍隊はボランティアによって成り立っています。子どもを軍に送っている方とお話ししたことがありますが、兵士は無給で、食料も自分の家から持っていくそうです。しかし、国家を守る士気は非常に高く、優秀だといわれています。
また、社会全体で兵士を支えようとする機運があり、バスは兵士が手を挙げればどこでも停まり、無料で利用できます。また、タクシーはたとえお客さんを乗せていても、兵士を相乗りさせなければいけないそうです。
永世中立を掲げているスイスは、全家庭に武器が備えられていて、もし有事になり、国家が危機的状況になれば、全国民が立ち上がるといわれています。各家庭に備えられている武器が犯罪に用いられたとか、事故が起きたという事例は1度もないといわれています。
もし米軍が完全撤退することになれば、スイスやイスラエルのような気概を持たなければ、国家を防衛するということはとても難しいと思います。
日本が生き残るためには、周りの国々と友好関係を保ち、外交努力を積み重ね、文化交流をしていくことが大切だと思います。そのためには、世界中のクリスチャンが国を越えて交流し、国と国の架け橋になることが必要ではないでしょうか。
イスラエルのエゼキエルの時代では、バビロン捕囚の危機が迫っているのに、国民の目を真実からそらし、口先だけで「平和」を唱え、現状をごまかしている勢力がありました。それに対して神様は、次のような宣言をしておられます。
「実に、彼らは、平安がないのに、『平安』と言って、わたしの民を惑わし、壁を建てると、すぐ、それをしっくいで上塗りしてしまう」(エゼキエル書13:10)
今年はイギリスのEU離脱、米国の大統領選など、予測していなかった事態が起きて、歴史の曲がり角になる年です。また、異常気象などのために想定を越える自然災害が起きています。こういう時にこそ、主にあって将来を展望する生き方が問われていると思います。
「わたしは、あなたがたに平安を残します。わたしは、あなたがたにわたしの平安を与えます。わたしがあなたがたに与えるのは、世が与えるのとは違います。あなたがたは心を騒がしてはなりません。恐れてはなりません」(ヨハネ14:27)
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