カナダのプロテスタント主流派の教会を調査したところ、保守的な教えや字義通りの聖書解釈を推し進めている教会の方が、リベラルな教会よりも教勢が良いことが分かった。
「プロテスタント教会における量的成長をもたらす教義体系についていうなら、保守的なプロテスタント神学が勝者であることが明確に現れています」。調査研究「神学の重要性:プロテスタント主流派の成長する教会と衰退する教会の出席者と聖職者の特徴の比較」の主任研究者であるデイビッド・ハスケル氏は、そのように語った。
英ガーディアン紙によると、この調査研究は、カナダで最も人口の多いオンタリオ州の教会に通う教会出席者2225人を対象に行われた。さらに、聖職者29人、教会員195人にインタビューし、プロテスタント主流派において成長している教会と衰退している教会の教義的信条を比較分析した。
ハスケル氏は、成長している教会について、「キリスト教の伝統的信条を堅持しており、祈りや聖書通読などにおいてもより勤勉でした」と語った。
この調査研究は、12月に学術誌「宗教研究レビュー」に発表される予定で、ハスケル氏は、この調査研究が議論を引き起こすことを期待しているという。
「あなたが主流派の教会に通っている人だとしましょう。その教会が死にかかっており、あなたの神学的立場がその原因であるようだと言われたら、あなたはそれを喜べないはずです」とハスケル氏。「神学的な指導は、信仰を実践する人の奥深いところに影響を与えるのです」と語る。
この調査研究は、他にも幾つかの統計を提供している。「非キリスト教徒に対してキリスト教徒になるよう勧めることは非常に重要である」という見解に同意した聖職者は、衰退している教会の場合は半数だけであったが、成長している教会の場合は全員が同意した。
また、成長している教会では聖職者の71パーセントが毎日聖書を読んでいたが、衰退している教会では19パーセントであった。さらに、成長している教会の聖職者は全員が「神は祈りに答えて奇跡を起こす」ことに同意したが、衰退している教会の聖職者で同意したのは44パーセントだけだった。
教会成長というテーマについては、これまでもさまざまな研究が行われている。米国居住者を対象に多岐にわたる項目で調査を行っている「総合的社会調査」(GSS、2014年版)は、米国の教会出席者の多くが、神学的にはリベラルではなく保守的であることを示している。
福音主義の米世論調査会社「バーナグループ」の調査によると、ミレニアル世代(1980年代から2000年代初頭までに生まれた世代)の67パーセントは、「はやりの」礼拝スタイルではなく、「古典的な」礼拝スタイルを望んでおり、77パーセントは講堂(オダトリアム)ではなく、礼拝堂(サンクチュアリ)で礼拝が持たれることを望んでいる。
米キリスト教機関「宗教民主主義研究所」のジェフ・ウォルトン氏は、クリスチャンポストとの2015年のインタビューで次のように語っている。
「伝統的教義と正統派神学そのものが教会成長を保証するわけではありませんが、教会成長に必要な要素であると思われるのは確かです。社会科学者たちは、構成員に多くを要求する団体は、ほとんど要求しない団体よりも成長し、より良くなる傾向があるという見解を述べています」
ウォルトン氏はまた、「文化的退廃を強く批判する教会は、周囲の世界とのコントラストがはっきりしています」と述べ、「そういう教会には人が集まってきます。なぜかというと、悔い改めやライススタイルの変貌、(キリストにある)新しい命に関するメッセージなど、他の教会にはないものを提供しているからです」などと語っていた。