相対性理論の基礎を築き上げ、20世紀最大の物理学者と言われるアルバート・アインシュタイン(1879〜1955)が知人に宛てた手紙で、宗教について「子どもじみた迷信にすぎない」と否定的な考えを示していたことがわかった。手紙を近く競売に出すロンドンの古書類競売業者、ブルームズベリーが13日明らかにした。
時事通信によれば、手紙は1954年1月3日付。哲学者エリック・グートキンド氏から宗教に関する著書を贈呈され、同氏への返信として送られたものだという。ドイツ語で書かれ、聖書についても否定的な表現があるという。
しかし、アインシュタインは、「わたしは、神の天地創造の“足跡”を探していく人間である」などという言葉を残しており、ユダヤ人の選民思想には否定的な立場を示していながらも、自身がユダヤ人であることについては「喜びであり、その精神性に深い共感を抱く」としている。
アインシュタインの宗教観については不明な点が多く、今回の手紙はアインシュタインの宗教観を扱ったものとして有名なイスラエル人物理学者マックス・ヤンマーの「アインシュタインと宗教」では扱われていない。英ガーディアン紙によれば、英国の「科学と宗教」の分野における第一人者ジョン・ブルック氏(オックスフォード大学)は、手紙についてこれまで聞いたことがないものであるとし、「他の偉大な科学者と同様に、彼(アインシュタイン)は、評論家が当てはめようとする枠には収まるものではない」と語った。
共同通信によれば、競売は15日に行われ、落札予想価格は6000〜8000ポンド(約120〜160万円)と予想されている。