【CJC=東京】中国フィルハーモニーオーケストラが5月7日、バチカン(ローマ教皇庁)のパウロ六世ホールで教皇ベネディクト十六世出席の下、公演を行った。同オーケストラ芸術総監督の余隆(ユー・ロン)氏が指揮、上海歌劇院合唱団と共に教皇のためにモーツァルトの「レクイエム」や中国の民謡「茉莉花(ジャスミン)」を演奏した。同オーケストラは2005年にローマで公演したことはあるが、バチカンではこれが初めて。
消息筋は、中国側が国際的なイメージ向上を意図していることをバチカン(ローマ教皇庁)が理解はしており、外交関係の改善に役立つことを期待していることは確かだ、と指摘したが、ただこれですぐに復交に道が着くというものでもない、と警告している。
教皇は、北京政府との関係改善を重視しており、昨年6月には55ページもの書簡を発表したが、その中で、1949年の共産主義政権樹立以来断絶している外交関係の修復を目指すことを明らかにしている。
中国のカトリックは、公認の教会と、バチカン(ローマ教皇庁)に忠誠を示す地下教会とに分かれている。
今回の演奏は、イタリア以外の国で中国の外交使節がバチカン側に接近し、提案したものだという。元々は数ヶ月前に提案されたが、実現へ向けての調整が成立しなかった。「再度、申し入れがあったことが重要だ」と、関係した聖職者は指摘する。