宗教倫理学会の第17回学術大会が9日、大阪府吹田市の関西大学千里山キャンパスで行われる。「現代社会における生命倫理と宗教」をテーマに、小原克博氏(同志社大学神学部教授)による「脳神経倫理と宗教倫理の接点」の他、「日本の宗教土壌と宗教倫理」(小田淑子・関西大学文学部教授)などの研究発表が行われる。また、「赤ちゃんポスト研究の最前線―生命保護と権利擁護の狭間で―」と題しての柏木恭典氏(千葉経済大学短期大学部こども学科准教授)による公開講演とシンポジウムも行われる。
日本初の赤ちゃんポストは2007年5月、熊本市で設置された。今年で10年目を迎え、これまで計125人の乳児を預け入れてきた。ドイツでは「社会の片隅で誰にも相談できない妊婦が子どもを遺棄、殺害することがないように」と、教育学者によって00年に設置され、その後キリスト教系の母子支援団体を中心にドイツ全土に広がった。現在の設置数は100カ所を超え、累計300人以上の子どもが預けられたという。海外での取り組みとともに、年間100件以上とされる児童遺棄や嬰児(えいじ)殺人、また児童相談所への相談件数は年間8万件を超える日本の現状についての報告と議論が行われる。
公開講演とシンポジウムは入場無料、申し込み不要。詳細は、宗教倫理学会のホームページで。
日時:2016年10月9日(日)午前10時〜11時50分(研究発表)、午後1時半〜2時半(公開講演)、午後2時45分〜4時半(シンポジウム)
場所:関西大学千里山キャンパス 第2学舎2号館(C棟)2階C204教室(大阪府吹田市山手町3−3−35、阪急千里線・関大前駅下車徒歩5分)