4月7日発売の週刊誌「AERA(アエラ)」4月14日号(朝日新聞出版)が、特集「キリスト教会の『性犯罪』」を4ページにわたって掲載した。日本の主要教団3つで起こった事例が取り上げられたこともあり、キリスト教会内で波紋を呼んでいる。
今回の報道で取り上げられたのは、日本聖公会高田基督教会(奈良県大和高田市)、日本ホーリネス教団平塚教会(神奈川県平塚市、現在は廃止)、日本基督教団熊本白川教会(熊本県熊本市)に所属していた(または現在も所属する)牧師3人。いずれも訴訟にまで発展した問題となっている。
一般週刊誌に大々的に取り上げられた事態について、「自分の所属教会とは無関係と考えるのでなく、キリストの体として共に痛むべきでは」(教会関係者)とキリスト教会挙げての対応が迫られている。
日本ホーリネス教団(内藤達朗委員長)は、アエラの報道があった翌日の8日付けで、相談窓口設置に際し、すでに決意表明の発表を計画していた文書「当教団牧師による性的加害問題の経緯と再発防止への決意」を発表。決意文発表にあたって、「私たちの教団の中から生じた罪によって、神の御名が汚されているこの事実を重く受け止め、私たちの歩みが聖くされ、神のみ旨に適うものとなることを目指して、一層の努力を重ねていく決意を新たにしています」と再発防止に向けた決意を示した。
同教団では、アエラで取り上げられた事件についてすでに05年秋、今回の問題が「どの牧師でも陥り得るもの」と認識し、またこのような問題が二度と起こらないようにするために、教団内で人権対策準備室(現在、人権対策室)を立ち上げ、防止策、啓発に向けての理念づくり、被害相談のあり方や体制づくりについて取り組んできた。今年1月からは「セクシュアル・ハラスメント防止・相談窓口」を設置し、教団内の相談を対象に、専門家の研修を受けた相談員が24時間体制で受け付けている。
内藤委員長は本紙取材に応じ、事件について「教団として、こんなことは二度とあってはならない」とし、「様々な点で、啓発・防止策を準備させていただきましたし、今後も対応させていただきます」と語った。同教団では相談窓口のほか、パンフレット「人権問題としてのセクシュアル・ハラスメント」も作成し、関連する諸教会、諸団体に配布。教区会や牧師の研修会、セミナーなどで用いていく。
一方、熊本白川教会を管轄する日本基督教団九州教区(西畑望総会議長)は、問題が指摘され始めた01年に、「セクシュアル・ハラスメントを含む重大な人権侵害事件が生じていたものと確認いたしました」と事実を認め、「批判を真摯に受け止め、教会が主から託されている業を十分に果たしていくことができる群れで在り続けるべく、努力を払っていく所存です」とする声明を発表している。
同教区の関係者は、被害者が二次的、三次的に精神的被害を受けないように配慮しつつ、該当教会が「教会」として歩みだせるように願いながら問題に取り組んできた。教区の課題として受け止め、痛みを覚えつつ、セクシュアル・ハラスメントに関する学習会などを行ってきたと説明した。