奥多摩バイブルシャレーは老舗のキャンプ場
奥多摩バイブルシャレー(BC)は、センド国際宣教団が所有する歴史あるキャンプ場。四季折々の美しい奥多摩を満喫しながら、日頃の疲れを癒やせるクリスチャンの老舗レクリエーション施設として有名だ。
今回は8月2日から5日まで3泊4日の日程で行われた小学生バイブルキャンプを取材した。このキャンプは50年近く続いており、近年は8月の第1週と第2週の2回に分かれて開催されている。小学生であれば誰でも参加できるとあって、すぐに予約がいっぱいになるという人気ぶりだ。
奥多摩BCへはJR青梅線・沢井駅を下車。美しい多摩川の景色を楽しみながら徒歩で約13分。車は新宿方面から青梅街道を利用するか、圏央道のインターからも近く、アクセスのしやすさも魅力だ。東京都とは思えない自然と山々に囲まれ、施設の周辺は観光地としても人気スポットになっている。
受け付け時は混雑するので、少し早めに到着すると安心だろう。都内に限らず神奈川、埼玉、山梨からも参加。その人気ぶりがうかがえる。キャンプ期間中はトラブル防止のため、貴重品などの管理は施設側が行い、プールなどの安全面も十分に配慮されているので安心だ。
この小学生キャンプは、対象年齢に合えば誰でも参加可能とあって、友達を誘って参加する子どももいる。部屋は、おうめ、さわい、みたけハウスの3棟(和室10、洋室9部屋、定員102人)で、暖炉のある広い談話室に売店も完備。夏はプールを楽しめる。キャンプ場と聞くと、テントを持ち込んで野外で寝泊まりをするイメージがあるが、ここは宿泊施設(宿泊棟)も利用できる。広くて明るい食堂(ラウンジ)に名物のチャペル、こちらには楽器の品揃えが充実しており、教会イベントや礼拝、集会にぴったりだ。
キャンプ場は、センド国際宣教団が運営し、キリスト教の信仰理念に基づく。「安全で楽しい自然環境の中で、伝道と聖書教育のキャンピングプログラムを通し、教会に仕え、神の栄光を表すこと」を掲げている。主催キャンプ以外の宿泊も人気で、個人でも利用できるが、原則として教会やキリスト教諸団体を通じて申し込みするシステムとなっており、クリスチャンではない人や団体は申し込みできない。
当日は受付時刻の2時間前から大勢の参加者がキャンプ場に集まっていた。初めて息子を参加させるという母親は、「大丈夫かな」と心配な様子だ。初参加は親も子もドキドキするのかもしれない。キャンプは男女別の部屋割りで、各部屋に1~2名のカウンセラーがつく。カウンセラーは事前にトレーニングを受け、期間中は子どもたちの良きお兄さん、お姉さんとして責任を持つ立場だ。
全員そろっての食事も楽しみの1つ。奥多摩BCは食事がおいしいことで有名だ。宣教師がスタートした施設だけあり、本場のアメリカ式家庭料理を楽しめる。
海賊団 キャプテン・ヤスによる楽しいメッセージ
今回は80人近い小学生が参加。講師である青木靖(やすし)牧師は海賊団のコスチュームに扮し、キャンプ期間中はキャプテン・ヤスの愛称で子どもたちから親しまれていた。キャンプそのものが1つのメッセージ性を持ち、聴いて感じて、時にゲームやゴスペルタイムで体を動かすことで自分のものにしていく「体感型」のメッセージが特徴。小学1年生から6年生まで参加するが、一緒になって時間を共有することは貴重な経験となる。学年ごとに分かれてディスカッションの場も設けられるなど、充実したプログラムが目白押しだ。
今年のテーマ聖句は「この世と調子を合わせてはいけません。いや、むしろ、神のみこころは何か、すなわち、何が良いことで、神に受け入れられ、完全であるのかをわきまえ知るために、心の一新によって自分を変えなさい」(ローマ12:2)。
「キャンプで子どもたちが神様によって変えられていきます」と、キャンプテン・ヤスこと青木牧師は語る。青木牧師は筋金入りのアウトドアマンでもある。年内を目標に「板前の父親譲りの料理の腕を生かして、登戸こども食堂(放課後クラブ)をスタートしたい」とコメント。「優しく格好いいパパ的な牧師さん」と大人気だ。そんな牧師のメッセージに子どもたちは「キャプテンの話がすごく楽しかった」「イエス様を信じたよ」「初めてお祈りできた」と、口々に喜びを話してくれた。
子どもたちは「来年も参加する!」
「ゲームが楽しかったです。もっと神様のことを知りたいです。ローマ12章2節の御言葉が心に残りました」(小学2年生女子)
「出エジプト記のお話が心に残りました。神様があなたと共にいる、あなたの痛みを知っていると言ってくださり、イエス様が守ってくれると分かりました。だから、メッセージを聞いて神様と距離が近くなりました」(小学5年生女子)
「イザヤ書のお話で、いつでも愛してくださることを聞きました。永遠の命について学びました。罪も隠さないで神様にお祈りしたいです」(小学低学年男子)
プールで思いっきり遊び、毎日歌って踊る。ゲームも盛りだくさん。子どもたちは口々に「来年も参加する!」と語ってくれた。
中には、去年のキャンプで受洗を決心し、洗礼を受けたという子どももいた。このようにキャンプで経験した恵みは、各自の教会で証しされ、家庭や学校では夏の思い出として語られていく。
カウンセラーは学生から社会人まで幅広く集う
カウンセラーたちはどうだろうか。直後から、知り合った仲間同士が活発にSNSなどで情報を共有していた。キャンプは、参加者全員が経験を通じて糧を得ることのできる恵みの場でもある。初参加の男性カウンセラー(高3)は「僕は将来、児童福祉施設などに勤務して、子どものメンタルケアに関する仕事に就きたいです」と語り、子どもとの関わりがとても楽しいと話してくれた。高校生から社会人、牧師を志す神学生までバラエティー豊かだ。
バイブルキャンプの最終日
初日の受け付けで不安そうだった母親は、「こんなに長い間1人で泊まったことがなかったので、正直大丈夫だろうかと心配でした。自分の息子がこの間よりたくましく見えてなんだか感動です」と涙するシーンも。別れを惜しみながら、それぞれの家へ帰って行く。どの子どもたちも笑顔と涙で顔がくしゃくしゃだった。「また来年ね!」「また会おうね!」。カウンセラーたちが見送った。
確かに子どもたちの性格もさまざまで、初めのうちは保護者として心配な面もあるが、ここで時を過ごすうちに親子共に成長できるのが、このキャンプの大きな魅力かもしれない。キャンプ場のスタッフの温かな雰囲気があってこそ、皆が安心できるのだろう。
奥多摩BCに仕える大倉寧、朝子夫妻
奥多摩BCのプログラムディレクターを務める大倉寧(やすし)さんは、青梅キリスト教会の伝道師でキャンプ宣教に献身している。妻の朝子(ともこ)さんはフードサービスアシスタント(調理)。夫妻でキャンプ場に勤務する。大倉さんはキャンプの企画の責任者でもあり、実際にゲームや演奏(ゴスペルタイム)にも加わるなど、皆から慕われる存在だ。また、宣教師たちも明るく温かい人柄で、とても心地よく過ごすことができる。
奥多摩BCは食堂の建て替えを検討しているという。ディレクターの大倉さんによれば「必要が満たされるようお祈りください」とのことだ。近場で気軽に宿泊できるキャンプ場は貴重だ。秋には山小屋1泊キャンプ、冬はクリスマスコンサート、ウィンターユースキャンプなどが企画されている。ぜひたくさんの人に利用してほしい。