星野富弘氏の作品を一堂に公開する富弘美術館(群馬県みどり市)は、今年、開館25周年を迎えた。同館では現在、これを記念した企画展「はるかなる生命の詩」が開催されている。命の尊さ・命の輝きを放つ星野氏の代表作品と未公開の作品を含む120点を展示する。25日(日)まで。
同館は、群馬県勢多郡東村(当時)の草木湖のほとりに、東村のふるさと創生事業として1991年に開館した。開館当初から多くの人々が訪れ、2015年には入館者数が650万人を突破し、県内外の多くの人に愛され続けてきた。
今回の企画展では、自然や生活の中に宿る、小さな命の輝きを描いた珠玉の作品が並ぶ。毎日通り過ぎてゆく「時」「風景」の中で、私たちが見逃してしまっている、雑草の美しさ・おもしろさ、心を研ぎ澄ませてみれば聞くことのできる、鳥のさえずり、雨や風の音、かぐことのできる土や花の香り、見ることができる小さな花々のいとおしさをあらためて気付かされる作品ばかりだ。
星野氏は今回の企画展に当たって、「負傷してから46年、本格的な創作活動を開始してから40年が過ぎました。自己表現の手段として最も適した詩画という表現形式を見いだし、現在も精力的に創作活動を続けています。作品は時を経るごとに昇華され、輝きを増しています。ごゆっくりご鑑賞いただければと思います」と語っている。
今年4月に70歳の誕生日を迎えた星野氏。24歳の時に、不慮の事故で頚髄(けいずい)を損傷して手足の自由を失い、これまで筆を口にくわえて創作活動を続けてきた。負傷したことは大変な出来事だった。しかし、「負傷せず、順調に生きていたら、何も気づかず、何もしない自分になっていたかと思うと恐ろしくなる」(著書『いのちより大切なもの』)と述べ、生きることの尊さを伝える。
開館時間は、午前9時から午後5時(入場は閉館30分前まで)。企画展期間中は無休。観覧料は一般500円、小・中学生300円。20人以上の団体はそれぞれ2割引き。幼児は無料、障がい者手帳所持者と介護者1人は5割引き。
なお、24日(土)には、朗読グループ「杲の会」による朗読会(1回目午前10時半から、2回目午前11時半から)と、花の講座「フェルトのルームアクセサリーづくり」(午後1時半から約2時間)が開催される。
詳しくは、富弘美術館のホームページ。