韓国の都市貧困層の間における教会の宣教奉仕活動の先駆者で、韓国の民主化運動に積極的に参加した朴烔圭(パク・ヒョンギュ)牧師が18日に逝去した。アジアキリスト教協議会(CCA)が21日に公式サイトで伝えた。CCAや韓国メディアの報道によると、朴牧師の葬儀は21日と22日にソウルで行われた模様。
朴牧師は1923年生まれ。韓国基督教長老会総会(PROK)の元議長で、教会と社会にさまざまな立場で仕えた。
「民衆の運動における韓国のキリスト教徒たちの早くからの参加を始めた朴烔圭牧師の比類なき役割は、幅広く認識されていた」とCCAは伝えた。朴牧師はソウル首都共同体組織化(SMCO)委員会の初代会長を務めたほか、韓国都市貧困層宣教運動が1971年に正式に創立されたときの先駆者であった。朴牧師は、1970年代と1980年代の韓国の権威主義的な軍事政権下において、同国の自立的な国民生活を弾圧した政治勢力と闘うキリスト教運動を指導した。
CCAのマシューズ・ジョージ・チュナカラ総幹事は弔文の中で、朴牧師について「献身的なキリスト教の指導者であり、神学者であり、人間の尊厳のために立ち上がった頑強な闘士であり、新しい教会・新しい信仰告白・新しい神学・自らの信仰と証しに根ざした新しい行動の構築と成長の過程を求める韓国のキリスト教徒の熱望の典型となった政治的な囚人であった」と述べた。
マシューズ・ジョージ博士は朴牧師の役割を「自由と人権を求める民衆の闘いにおける教会の参加についての神学的な確信と支え」であったと回想した。
朴牧師は1973年5月に出された「韓国キリスト者宣言」を作成する上で重要な役割を担ったが、この宣言はヒトラー政権下におけるドイツの諸教会の「バルメン宣言」と比べられてきた。軍事独裁政権の時代に韓国の諸教会によって発表されたこの文書が同国の内外で幅広く公表され認識されたことは、当時の支配者たちに影響を与え、その結果、朴牧師は1973年7月に逮捕され投獄された。世界教会協議会と世界の多くの地域にある教会が、朴牧師の釈放を求めて訴えた。
2013年の初め、WCCの韓国訪問代表団との会談で朴牧師は、自身の逮捕や投獄を積極的に非難し、また自らの釈放を訴え続けたWCCと国際的なエキュメニカル共同体の役割を大いに認めた。
朴牧師は、2013年に韓国で開かれたWCC第10回総会の「開催国委員会常任顧問」チームのメンバーを務めた。
なお、日本語で出版された朴牧師の著書に、『路上の信仰―韓国民主化闘争を闘った一牧師の回想』(山田貞夫訳、新教出版社、2012年)、『曠野の行進―朴炯圭牧師説教集』(洪炯圭・金民永 訳、日本キリスト教団出版局、1989年)がある。