ギリシャのクレタ島で正教会聖大会議が6月19日から26日まで開かれてから約1カ月。その間に、この会議に参加しなかった一部の正教会が、この会議に対する自らの立場を表明してきた。
ロシアの正教会ニュースメディア「プラヴォスラヴィエ」は23日、この会議に不参加だったロシア正教会はオンラインで公表されている正教会聖大会議の決定に反応せず、公式文書を受け取って検証するまで待つとする英文記事を掲載した。
これはモスクワ総主教庁渉外局長であるイラリオン府主教がロシアのマルチメディア・グループ「RIAノーボスチ」に語ったものとして、プラヴォスラヴィエ紙が伝えたもの。
これに先立って、ロシア正教会聖シノドは7月16日、公式サイトで「クレタで開かれた会議についての自らの立場を表明」と題する記事を掲載。15日に同シノドがモスクワの聖ダニイル修道院でモスクワおよび全ロシアのキリル総主教を議長に定例会合を開き、この会議について検討したと伝えていた。
それによると、同シノドの参加者たちは、正教会聖大会議は「1961年に(ギリシャの)ロードス島で行われた第1回全正教会によって始められた正教会の会議のプロセスが持つ歴史において、重要な出来事であったと認定することを決議した」という。
しかし、その一方で、「聖シノドのメンバーが強調した通り、会議のプロセスを通じた全正教会の協力のための基礎をなしてきたのは、全会一致の原則であった」とロシア正教会は述べた。「彼らは、幾つかの独立正教会からの同意が欠如した会議を開くことは、この原則に違反する。従って、クレタ島で行われたこの会議は、それによって採択された文書が全正教会の合意を表していると見なされているとはいえ、全正教と見なすことはできない」
ロシア正教会聖シノドは、シノド聖書・神学委員会に対し、上級聖職者や神学校、神学者、聖職者、修道士、信者の反応や発言があり得ることを考慮しつつ、クレタ島の会議によって承認された文書の真正な謄本の出版と研究を命じるとともに、包括的な研究を経て、その結論を聖シノドに提出するよう命じた。
また、ロシア正教会によると、クレタ島の会議を欠席したブルガリア正教会の聖シノド事務局は7月9日、クレタ島の会議の文書を正式に受け取った後で、それをブルガリア総主教庁の府主教たちに伝えて徹底的な研究をし、その後、聖シノドは、その会合で、クレタ会議の決定に対する自らの態度を表明すると報告したという。
一方、クレタ島での会議に参加しなかったアンティオキア総主教庁の事務局は6月27日、フェイスブックに英語による声明文を掲載。同日にレバノン北部バラマンドで開かれた同総主教庁の聖シノドは、正教会の全会一致の必要性を強調し、クレタ島の会議は正教会聖大会議の準備会議を開催するのに必要な条件すら満たしていないと批判した。ロシア正教会聖シノドも全会一致の原則との関連で、アンティオキア総主教庁が取っている立場を指摘したという。
「もともとはこの会議が全正教会会議となることが意図されていたところを、世界の正教徒の半分以上を代表する4つの独立(正)教会が欠席して開かれた」と、この声明文は指摘した。この会議にはジョージア(旧グルジア)正教会も不参加だった。
この声明文で、アンティオキア総主教庁聖シノドは、1. クレタ島の会議を全正教会会議に向けた予備的な会議と見なし、従ってその文書は最終的なものではなく、全ての独立正教会が出席し参加する聖大会議が開催された暁には、まだ議論や改訂ができるものと見なすこと、2. 全ての独立正教会を含まない、いかなる正教の会合にも公会議としての性格を与えることを拒否するとともに、共通の正教同士の関係のためには全会一致の原則が不可欠な基礎であることを強調すること。従って、アンティオキア総主教庁は、クレタの会合が「大正教会会議」とか「聖大会議」と呼ばれるのを拒否する。3. クレタの会議での決定やその他のもので何が発表されようとも、アンティオキアおよび全東方の総主教庁に対して決して拘束力を持たないことを確認すること、4. クレタの会議の結果や影響を研究し、詳細な報告書を次回の会合でアンティオキアの聖シノドに提供するために「(クレタの)会議の諸問題に関する追跡調査委員会」を任命すること、5. アンティオキアの聖シノドの決定についての書簡を、海外の民間および宗教組織とともに全ての独立正教会に送ること、6. 今日の世界において正教のハリスティアンの証しが持つ一致が保たれ、その全てが顕示されるようにアンティオキア聖シノドの神父たちと共に祈るよう、信者に呼び掛けること、という6つの項目を全会一致で決定した。