イスラエル在住のアラブ人クリスチャンに対し、兵役に志願しないように、あるいは入隊後に軍務を放棄するように説得する者は、新しく制定された法律に従って、禁錮刑が科せられる可能性がある。
イスラエル議会の憲法法務司法委員会は、国内のアラブ人政治家たちを激怒させつつも、このような行為に禁錮刑の判決を命じる法案を通過させた。
先週可決されたこの法案に反対するアラブ系の4政党からなる「ジョイント・リスト」は、この法案に関する議論がイード・アル・フィトル祭(イスラム教の断食月間であるラマダン明けの3日間の祭り)の間に行われないと約束されていたと述べた。しかし、同委員会はアラブ人議員らが議会を欠席している間にこの法案を討議した。
イスラエル国内では、超正統派のユダヤ教徒であれば兵役は免除されるが、ユダヤ人であれば通常は男女を問わず兵役の義務がある。イスラエル国内に130万人いるアラブ人は兵役を強制されないが、志願することはできる。イスラエルには約10万人のアラブ人クリスチャンたちがいる。
アラブ人議員らは、この法案はクリスチャンが軍隊に加わるべきか否かについて、アラブ人社会の中にある議論を台無しにすると主張している。ジョイント・リストのオサマ・サーディア議員は、「全ての人は自分の意見を言い表す権利を持っています。特に、キリスト教共同体内で意見が分かれる軍隊に加わることについては」と話す。
サーディア氏はイスラエルのハアレツ紙に、「そうしない(イード・アル・フィトル祭の期間中に法案について議論しない)という同意にもかかわらず、彼らが議論を行った事実は疑念を抱かせるものであり、不適切です」と語った。
同委員会の議論に出席した民間非営利団体「ソーシャル・ガード」のニリット・モスコビッチ氏はそのやり方を批判して、次のように述べた。「イード・アル・フィトル祭のために多くの重要な議論が取りやめられた日に、憲法法務司法委員会はユダヤ人議員のみと会議を開き、アラブ人市民の表現の自由を深刻に侵害する法案を満場一致で承認しました」
現行の法律では、兵役義務期間にそれを放棄するように説得する者、あるいは脱走兵を援助する者、または脱走兵に避難場所を提供する者は、3〜15年の禁錮刑を科せられる。
一方、兵役に従事するアラブ人クリスチャンを支持するシャディ・ハルル氏は、アラブ人議員らを批判して、若いクリスチャンたちが現行の法律では、脅威から適切に保護されないと述べた。
ハルル氏は、「アラブ人議員たちは手紙を書き、軍隊に加わらないように(アラブ人クリスチャン)を駆り立てました。私たちは兵士たちを保護するために、この法案を必要としているのです」と語った。